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ヤマボウシ/やまぼうし/山法師
Japanese Dogwood/Kousa Tree
【ヤマボウシとは】
・東北南部~九州に分布するミズキ科ヤマボウシ属の落葉樹。低山の林地や草原、沢沿いに自生するが、初夏に咲く清楚な花や、晩夏に熟す赤い果実を観賞あるいは実用するため、公園、街路、一般家庭の庭にも植栽される。同属のミズキから進化したとされる。
・原産は日本、中国(漢名は「四照花」)及び朝鮮半島だが、1875年には日本からヨーロッパへ渡り、現在では多くの国で親しまれる。庭木として人気の高いハナミズキ(別名アメリカヤマボウシ)は本種の近縁種にあたる。
・ヤマボウシの開花は葉が展開し終えた5~7月頃で、ハナミズキよりも明らかに遅い。花は短い枝の先に伸びる長さ10センチほどの花柄に咲き、花びらのように先の尖った4枚の「総苞片」が目立つ。総苞片は長さ3~8センチほど。これには昆虫などを花へ誘引する役割を持ち、本当の花は総苞片の中心にある。淡い黄緑色の球体で、30~40輪の小花からなる。
・個々の小花は直径5ミリほどで雌しべ(花柱)が1本、雄しべが4本、「花被片」と呼ばれる小さな花弁のようなものが4枚ずつある。この集合花を法師の頭に、4枚の総苞片を頭巾に見立て、かつて山法師と呼ばれた比叡山延歴寺の僧兵にちなんでヤマボウシと名付けられた。学名にあるKousaはクサと発音し、箱根地方の方言名に由来する。総苞片の色は品種によって白、黄色、ピンク、赤と変化がある。
・果実は直径1~2センチほどの集合果で、長い柄に垂れ下がる。9~10月に赤く熟した果肉は柔らかくて甘みがあり、野生の猿は好んでこれを食べる。人間も、生食、果実酒、ジュース、シロップとして飲食できる早期に落下するため収穫期の見極めが必要。果実の形がクワに似るため、別名をヤマグワという。果実の中には硬いからに覆われt種子が1~3個ある。
・葉は長さ5~10センチほどの楕円あるいは卵形で先端が尖り、葉脈が目立つ。表面は濃緑色で艶があり、縁にギザギザはないが波打つようになる。葉の裏面は白っぽく、葉脈(側脈)の付け根には褐色の毛がある。
・葉は枝から対になって生じ規則的に並ぶが、先端付近では密生する。秋にはピンク、赤、時には紫に近い紅色に色付くが、寒暖差が乏しい都市部ではあまり綺麗に紅葉しない。枝は水平に広がりやすい。
・幹は直立し、樹高は最大15mほどになる。成木の樹皮は暗い赤褐色だが樹齢を重ねると斑模様に剥離し、ナツツバキ、リョウブ、カゴノキなどと似た雰囲気になる。重硬なヤマボウシの材は器具や薪炭として利用可能だが、材木として流通することは少ない。樹皮や枝葉を煮出したものは、黄茶色や黒茶色の染料となる。
【ヤマボウシの育て方のポイント】
・新緑、花、果実、紅葉とシーズンごとの楽しみがあるためシンボルツリーとして人気が高い。一本立ちのものでも風景になるが、特に株立ちのヤマボウシは観賞価値がある。
・あまり背が高くならないため庭木として人気が出たが、ハナミズキ同様に花が上向きに咲くため、成長とともに観賞しにくくなる。このため剪定が必要だが、自然樹形を楽しむ木であるため、剪定にはセンスが必要となる。
・自生地は山地の谷沿いが多く、砂壌土を好むが、適応力があり土質選ばずに育つ。
・花や紅葉を楽しむには日当たりの良い場所に植える必要がある。ただし、西日を嫌うため、西日の当たる場所では根元に下草を植えるなどの乾燥対策が必要。
【ヤマボウシの品種】
・自生種には総苞片が淡い紅色をしたベニヤマボウシがある。
・園芸品種は年々多様化しており、ウルフアイ、ゴールドスターなど葉色を楽しむ品種、ミルキーウェイのように、より丈夫な品種、さらには冬でも葉の落ちない常緑のヤマボウシなどがある。常緑性のヤマボウシは近年人気が高まっている品種で、ホンコンエンシス(ガビサンヤマボウシや月光など)とヒマラヤヤマボウシの二系統に大別できる。いずれも常緑だが、気温が低い時季は紅葉したようになる。
【ヤマボウシとハナミズキの見分け方】
①花の時期の違い
開花はハナミズキの方が数週間早い。ハナミズキは花が咲いてから新芽が出る。ヤマボウシは葉が揃ってから花が咲く。
②花の形の違い
ハナミズキの花(総苞片)は先端が凹んでいるか丸い。ヤマボウシは尖っている。
③樹皮の違い
花も葉もない冬季でも、幹を見れば見分けられる。ハナミズキは灰黒色でゴツゴツしており、縦にひび割れており、ヤマボウシはやや明るめでツルツルし、大木では斑模様に剥げ落ちる。
④果実の違い
ハナミズキの果実は水分が少なくて硬いため、食べようという気にならないが、ヤマボウシはいかにも果物のように瑞々しい。ちなみに両者が熟す時季は異なり、ヤマボウシの方が早い。
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ヤマボウシの基本データ
【分類】ミズキ科/ヤマボウシ属
落葉広葉/小高木~高木
【漢字】山法師(やまぼうし)
【別名】コウサ/イツキ/ツミ(柘)
ヤマグワ/カラグワ
【学名】Cornus kousa ssp.kousa
【英名】Japanese Dogwood
Kousa Tree
Japanese Strawberry Tree
【成長】やや早い
【移植】やや難しい
【高さ】3~15m
【用途】シンボルツリー
街路樹/公園樹
【値段】3000円~