庭木図鑑 植木ペディア > ヤマアジサイ
ヤマアジサイ/やまあじさい/山紫陽花
Hydrangea Yamaajisai
【ヤマアジサイとは】
・東北地方南部以西の本州太平洋側、四国及び九州に分布する天然のアジサイの一つ。山地の林の縁や渓谷などに多いことから、ヤマアジサイと名付けられた。
・一般的なアジサイの原種であるガクアジサイは自生地が限定的であるが、ヤマアジサイはより広い範囲に見られ、京都や大阪などの野山にも自生していたため、古くから日本庭園で使われる。花の様子はガクアジサイ(額紫陽花)に似るが、より小さくて控えめであり、別名をコガク(小額)という。
・ヤマアジサイの開花は6~8月。枝先に白あるいは淡い青紫色をした花が咲く。花びらのように見えるのは、萼(がく)という器官が花びら状に変化した装飾花で、実際の花は中央に密生する。花序のまとまりは直径10センチほどにで、花は時期をずらしながらポツポツと咲いていく。
・花は両性花で青紫色をした5片の花弁と長く突き出た10本の雄しべ、そして3本の花柱がある。花の色は土壌の酸度や養分によって変化に富み、淡いピンクや紫になることもある。一般に東日本は白が多く、西日本は青が多いとされる。花の後には乾いた果実ができ、10~11月には褐色に熟す。
・装飾花は白あるいは淡い青色で、土壌の影響は受けず一定の色合いになるが、花が終わるとピンクっぽい色になって反り返るものが多い。雰囲気はガクアジサイに似るが、装飾花の萼がより小さいため、別名をコガクアジサイという。
・葉は細長い楕円形で長さは12センチほど。縁にはギザギザがあり、先端は細く尾状に尖る。葉には長い柄があり、細かな枝から対になって生じる。葉はガクアジサイよりも薄く、両面に細かな毛があるため光沢がなく、特に裏面は短毛が密生する。他のアジサイ類と同様、葉や花に毒性(成分不明)があり、食用にならない。
【ヤマアジサイの育て方のポイント】
・自生地は谷筋など湿気の多い場所であり、乾燥を苦手とする。日向を好むが、日陰でも問題なく育つ。積雪にも強い。
・剪定に耐えるが、花は今年伸びた枝に咲くため、春に剪定するのは避けたい。
・挿し木で簡単に増やすことができる。
【ヤマアジサイの品種】
・ベニガク(紅額)
江戸時代から栽培されている品種で、咲き始めの装飾花は白いが徐々に赤みを帯び、やがて真紅になる。赤い系統の花が咲くセイヨウアジサイの母種になったとする説がある。
・マイコアジサイ
ほぼすべての花が装飾花になる品種
・シロアジサイ
マイコアジサイ同様、装飾花に覆われる品種で、文字どおり白い花が咲く。
・シチダンカ
装飾花の数が通常の倍以上になる品種。観賞価値が高いため園芸用に栽培される。
・アマチャ
葉に甘味成分が含まれ、甘茶用に栽培される。装飾花はヤマアジサイよりも丸みを帯びるが素人では見分けにくい。
・御殿場錦
ヤマアジサイあるいはヤマアジサイとガクアジサイを掛け合わせた品種で、白い斑入り模様の葉が美しく、園芸的な人気が高い。
【ヤマアジサイの変種】
・エゾアジサイ
北海道や東北地方の日本海側に分布する変種で、より大きな葉、装飾花、果実がでできる。
・カンコクヤマアジサイ
韓国に自生あるいは韓国で品種改良された変種。装飾花の色形によって、海峡、済州島、明星、流星など多数の園芸品種がある。
|
ヤマアジサイの基本データ
【分類】アジサイ科/アジサイ属
落葉広葉/低木
【漢字】山紫陽花(やまあじさい)
【別名】サワアジサイ/コガク
【学名】Hortensia serrata
var.serrata
【英名】Hydrangea Yamaajisai
【成長】やや早い
【移植】簡単
【高さ】1~2m
【用途】日本庭園/鉢植え/生け花
【値段】800円~