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ヤエガワカンバ/やえがわかんば/八重皮樺
Dahurian birch
【ヤエガワカンバとは】
・北海道(十勝/北見)と本州中部の一部地域を原産とするカバノキ科の落葉高木。層をなした樹皮が幾重にも剥げることから八重皮樺と呼ばれる。限られたエリアに隔絶して分布する特殊性から、氷河期の終わりに取り残されたとする研究が進む。
・中国やロシアの東北部、朝鮮半島などアジア大陸にはまとまった林がある一方、日本では絶滅が危惧されるほど個体数は減少しており、大木は天然記念物に指定されるものもある。
・葉は長さ3~8センチ、幅2.5センチほどの菱形に近い卵形で縁には不規則なギザギザがある。シラカバの葉に似るが、全般に硬くて小さいものが多い。若い枝には毛があり、「腺点」と呼ばれるボツボツ模様が目立つ。寒冷地では秋に黄葉するが、暖地では葉が傷みやすく、さほど綺麗に黄葉しない。
・開花は4~5月。雌雄同株であり、葉の展開と共に雌雄の花が咲く。雄花は穂状で枝先から垂れ下がり、雌花は直立する。他のカバノキ類と同様に控えめな花であり、あまり目立たない。
・雌花の後にできる果実は長さ2センチほど。9~10月頃に熟すと翼のある種子がバラバラになり、風によって拡散される。空になった果実は翌年の開花期まで枝に残るため、冬季は翌年の蕾と相まって、枝にいろいろとぶら下がる。
・樹皮は灰色または赤みを帯びた灰色で、樹齢を重ねると鱗状に剥離する。材は硬質で扱いにくく流通量は少ないが、稀に家具、器具、パルプ材に使われる。別名「コオノオレ(小斧折)」は、材が硬いことで知られるオノオレカンバよりも葉が小さいことに由来する。
・「カバノキ」とは、日本に11種類ほどあるカバノキ科カバノキ属の樹木の総称であり、カバノキという木はない。
【ヤエガワカンバの育て方のポイント】
・自生は日当たりの良い乾燥した斜面が多く、日光を好むが、日陰にも耐える。
・寒冷な場所を好み、低地の住宅街などでは生育不良になりやすい。特に風通しの悪い場所では、枝葉に病害虫が繁殖しやすい。
【ヤエガワカンバの品種】
・ヒダカヤエガワ
北海道の日高地方に見られる変種で、本種とは果実の形状が異なる。
ヤエガワカンバの基本データ
【分類】カバノキ科/カバノキ属
落葉広葉/高木
【漢字】八重皮樺(やえがわかんば)
【別名】コオノオレ(小斧折)
【学名】Betula davurica
【英名】Dahurian birch
【成長】やや遅い
【移植】ふつう
【高さ】10m~20m
【用途】雑木の庭
【値段】─(流通品はほぼない)