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モクゲンジ/もくげんじ
Golden rain tree
【モクゲンジとは】
・中国及び朝鮮半島を主な原産とするムクロジ科の落葉樹。センダンのような葉を持ち、種子がボダイジュ同様、数珠の材料になることから、別名「センダンバボダイジュ」とも呼ばれる。
・日本には古くに渡来し、実用的な意味合いもあって主に寺院に植栽された。現在では大木となっているものも多い。
・日本海側の限られた地域(富山、福井、兵庫、山口等)では野生のものとされるモクゲンジがあるが、その数は次第に減少しており、天然記念物に指定されるものもある。ただし、これらは栽培品であり野生ではないとする説もある。
・モクゲンジという名前は、ムクロジの中国名(木患子)を音読みした「モクカンシ」が転訛したもの。ムクロジと本種を混同したことに由来するという(諸説あり)。
・鳥の羽根のような葉は先端の1枚と3~7対の小葉からなる。小葉は卵形だが、縁に不揃いな粗いギザギザがあって形状は複雑。葉は枝から互い違いに生じ、全体では長さ25~45センチほどになる。若い枝は赤みを帯びて新緑との対比が美しく、環境が良ければ秋の黄葉も綺麗になる。
・モクゲンジの開花は6~8月で、長さ30センチ前後の円錐の花序に、直径1センチほどの黄色い小花が密生する。雌雄同株で花には雄花と雌花(あるいは両性花)があり、雄花の雄しべは画像のように長く突き出すが、雌花の雄しべは退化している。
・花には独特の香りがあり、ミツバチにとっては格好の密源になる。4枚ある花弁は鮮やかな黄色で、染料に使うことができる。花の散る様子を金色の雨に例えて「Golden rain tree」という英名がある。花が進むとシベの基部が赤く染まる。
・秋になるとホオズキのような袋状の果実が熟し、三つに裂ける。中には直径6mm程度の硬い種子(金剛子という)が3~6個含まれており、数珠や首飾りとして加工される。この数珠を使って念仏を唱えると極楽浄土に行けると歌う謡曲「道明寺」があるが、炒めて食べることもできる。
【モクゲンジの育て方のポイント】
・やや寒さに弱いが、本州以西に植栽できる。
・日当たりがよく、かつ適度に湿気のある場所を好む。乾燥地では葉がチリチリになりやすい。
・苗木が市販されているが、大きくなることや寺院のイメージがあること等から一般家庭で植栽されることは少ない。狭い場所向けには、横幅が広がらない「ファスティギアータ」という種類がある。
【モクゲンジとオオモクゲンジの違い】
・似たような花を咲かせるが、オオモクゲンジ(フクロミモクゲンジ)は花期が9~10月ごろと明らかに遅い。花数はモクゲンジよりオオモクゲンジの方が多いものの、花そのものはオオモクゲンジの方がより小さく、種子もモクゲンジの方が大きい。
・モクゲンジの葉は、縁にギザギザがあるのが基本だが、オオモクゲンジにはないのが基本(例外も多い)。
・最大樹高は名前のとおり、オオモクゲンジの方が高く、20m以上に達する。
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モクゲンジの基本データ
【分類】ムクロジ科/モクゲンジ属
落葉広葉/高木
【漢字】(「木患子」は誤用)
【別名】センダンバノボダイジュ
【学名】Koelreuteria paniculata
【英名】Golden rain tree
【成長】やや早い
【移植】普通
【高さ】10~15m
【用途】公園/寺院
【値段】800円~