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ミツバウツギ/みつばうつぎ/三葉空木
Japanese bladdernut
【ミツバウツギとは】
・北海道から九州まで広い範囲の山林に分布するミツバウツギ科の落葉樹。初夏に咲く花の様子がウツギに似ること、葉が3枚の小葉で構成されることからミツバウツギと命名されたが、ウツギの仲間ではない。日本以外では朝鮮半島や中国に自生が見られる。
・ミツバウツギの開花は5~6月。その年に伸びた枝先に、長さ7~8ミリほどの小さな花が15輪ほど円錐状に集まってぶら下がる。花には直立した5枚の白い花弁があり、それぞれの裏側にある萼と呼ばれる部分も白いため、花弁が10枚あるように見える。
・雄しべは5個で花弁とほぼ同じ長さになる。雌しべ(柱頭)は1個ずつあるが、満開でも花弁が完全には開かないため観察しづらい。花には微香がある。
・花の後にできる果実は長さ2~3センチほど。緑あるいはピンク色を帯びた平らな風船状で先端が2~3つに裂け、相撲の行事が持つ軍配か割れた薬玉のような形になる。形状は異なるが同じような果実がなる木にはモクゲンジやオオモクゲンジがある。
・9~11月頃に熟すと自然に裂け、光沢のあるクリーム色の種子が計8粒ほど顔を出す。種子は食用にはならないが野鳥は好んで食べる。中国では乾燥させた果実を煎じたものが咳止めに使われる。
・葉は小葉が3枚一組となり、細かく分岐する灰褐色の枝の節から対になって生じる。小葉は長さ3~7センチ、幅1.5~3センチの細長い卵形で、先端は尖り、縁のギザギザは細かなトゲ状になる。
・春から初夏にかけて採取した若葉にはゴマ油のような風味があり、山菜として天婦羅、炒め物、和え物などにして食用する。ミツバウツギの別名にはコメノキやコメゴメなどお米にちなんだものが多いが、これは乾燥させた若菜を備蓄しておき、コメ不足の際、御飯に混ぜて量増しに使ったことに由来する。
・樹皮は灰褐色で樹齢を重ねると薄く剥離する。株立ち状に育つため主だった幹がなく、大きな板材は取れないが、縦に割れやすいことや硬くて丈夫であることから串や木釘、箸を作るのに使われた。ミツバウツギにはハシノキという別名もある。
・かつて日本各地の農村で語り継がれた伝説「朝日長者」において、この木の下に黄金を埋めたという言い伝えがあり、その名が知られることになったが、どこにでもある普通の木であり金銀財宝に通じるような希少性はない。
・植木としては同じミツバウツギ属のゴンズイの方が面白く、より多く植栽されている。ちなみにミツバウツギ属の樹木は北半球に11種類あり、遠く離れたヨーロッパにもそのうちの一種が自生する。
【ミツバウツギの育て方のポイント】
・土質は選ばないが、自生は木陰や沢の水辺であり、湿気を好む。
・枝葉は繁茂して藪状になりやすい。剪定は可能だが樹形はまとまりにくい。
・若葉にはアブラムシが付いていることがあるため、食用の際には処理した方がよい。
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ミツバウツギの基本データ
【分類】ミツバウツギ科
ミツバウツギ属
落葉広葉/低木~小高木
【漢字】三葉空木(みつばうつぎ)
【別名】コメゴメ/コメノキ
ゴメゴメ/ハシノキ
【学名】Staphylea bumalda
【英名】Japanese bladdernut
【成長】早い
【移植】ふつう
【高さ】3~5m
【用途】公園/雑木の庭/緑地
【値段】500円~