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ニンジンボク/にんじんぼく/人参木
Chinese chaste tree
【ニンジンボクとは】
・中国を原産とする落葉低木で、享保年間(1716~1736)に薬用として日本へ渡来し、幕府の御薬園に植えられたものがその後、日本各地へ普及した。あちこちで目にするセイヨウニンジンボクの仲間で、稀に庭木として植栽される。
・生薬名を牡荊(ぼけい)あるいは牡荊子(ぼけいし)といい、かつて民間療法では、煎じた果実を風邪に、葉を腎臓病に、煎った根から出る汁を痰切りに、妙薬として使った。
・開花は夏(7~8月)で、葉の付け根から伸びた10~20センチほどの円錐状の花穂に、淡い紫色をした花が階段状に集まって咲く。花は径8ミリほどの唇形で、下唇にあたる部分がより大きい。花の形はセイヨウニンジンボクとは違い、ハマゴウに似る。中国ではニンジンボクを「荊(けい)」、ハマゴウを「蔓荊(まんけい)」と称する。
・花の後には球形あるいは歪んだ卵形をした直径3ミリほどの果実ができ、熟すと黒褐色になる。
・画像の葉は五枚の小葉が掌状に集まったもので、枝先に見られるタイプのものだが、多くの葉は全く別物で、三枚の小葉からなり、その縁には数対の粗いギザギザがある。
【ニンジンボクの育て方のポイント】
・丈夫な性質を持ち、やせた土地でも育つ。また、暑さ寒さに強く、病害虫による被害も少ない。
・日なたを好み、半日陰程度なら育てられるが、まったくの日陰では生育が悪い。
・自然樹形を観賞する木であり、刈り込むような剪定はNG.
【ニンジンボクの種類】
・クサニンジンボク
中国を原産とする小型の品種で、葉の裏面に白い毛が密生する。
・タイワンニンジンボク
葉の縁にギザギザがなく、裏面に毛が密生する。樹高が5~8mにもなる点が他とは異なる。
地中海沿岸を原産とする品種。より華やかなため、日本でも洋風庭園に数多く植栽される。ニンジンボクとは花の形状や色の濃さ、小葉の数が異なる。
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ニンジンボクの基本データ
【分類】シソ科/ハマゴウ属
落葉広葉 低木
【漢字】人参木(にんじんぼく)
【別名】─
【学名】Vitex cannabifolia
SIEB. et ZUCC.
【英名】Chinese chaste tree
【成長】早い
【移植】普通
【高さ】2~4m
【用途】花木/薬用
【値段】─(市場に流通していない)