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ニシキギ/にしきぎ/錦木
Winged spindle tree
【ニシキギとは】
・北海道から九州までの広い範囲に分布するニシキギ科の落葉樹。山地や丘陵のみならず、人家に近い林の中にも自生するが、庭木として庭園や公園にも植栽される。日本以外のアジア東北部にも分布し、漢名を「衛矛(えいぼう)」あるいは「鬼箭(きせん)」という。
・ニシキギはスズランノキ、ニッサボクと並ぶ世界三大紅葉樹の一つとされ、日本庭園では名脇役となる。紅葉の美しさを「錦」のような織物に例えて「錦木」と名付けられ、錦木紅葉とも呼ばれる。学名にあるEuonymusは「評判の良い」という意味でこれも紅葉の美しさに由来する。
・ニシキギには、枝の節間で四方に張り出すコルク質の「翼」があり、これを刃物や矢になぞらえ「カミソリノキ」、「鬼の矢柄」などの別名や古名がある。京都で刺抜きの妙薬として使われた「速康散(そげ抜き薬)」はこの翼を原料とした。「翼」ができる個体とできにくい個体があり、野生種よりも園芸種の方がきれいな「翼」になりやすい。
・ニシキギの葉は長さ2~7センチの楕円形で先端が尖り、縁には細かなギザギザがある。両面とも無毛。基部はクサビ形で短い柄がある。10月頃の紅葉は格別だが、春の新葉は山菜として食べられる。
・開花は5~7月で、その年に伸びた枝葉の脇から伸びる短い柄に、淡い緑色の花を数輪ずつ咲かせる。花は直径6~7ミリほどで見付けにくいが、花弁4枚と雄しべ4個、雌しべ1個があり、萼も四つに裂ける。雌雄同株で一つの株に雄花と雌花が混在し、雄花には黄色い葯が目立つ。
・秋にできる果実は長さ8ミリほどで、10~11月頃に熟すと自然に破裂し、中からオレンジ色の仮種皮に包まれた種子一粒が顔を出す。この種子はトリグリセロールという有毒成分を含み、人間が食べると腹痛、嘔吐、下痢などの症状を引き起こすが、ハシブトガラ、エナガ、コゲラ、アトリなど野鳥はこれを採食する。
・実は食用にならないが、便秘薬、アタマジラミやケジラミの駆除薬として使われた。毛じらみ駆除に使う場合、この実を黒焼きし、椿油に混ぜて塗るという手の込んだ仕込みが必要。
【ニシキギの育て方のポイント】
・病害虫に強く、丈夫で育てやすい。
・日向の乾燥地を好むが、日陰にも強い。ただし、日陰では紅葉があまり冴えない。
・挿し木、実生で繁殖できる。
・枝が奔放に伸びるため樹形を維持するには刈り込みが欠かせない。芽を出す力は強く、刈り込みにはかなり耐えるが、枝が太い分、切った跡が目立つのが難点。枝分かれが多いためしばしば生垣に使われるが、あまり綺麗な形にはならない。
【ニシキギの品種】
・ニシキギコンパクタ
背丈が大きくならない品種で、樹高は1m以下におさまる。
【ニシキギに似ている木】
・コマユミ
・マユミ
・ツリバナ
・マサキ
・リュウキュウマユミ
・ヤンバルマユミ
・コクテンギ
【ニシキギとコマユミの見分け方】
・同属のコマユミに似るが、コマユミの枝にはニシキギに見られるようなコルク質の翼がないので、容易に見分けられる。コマユミはニシキギの変種であり、小さなマユミではないと考えられている。
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ニシキギの基本データ
【分類】ニシキギ科/ニシキギ属
落葉広葉/低木
【漢字】錦木(にしきぎ)
【別名】ソバノキ/ヤハズニシキギ
カミソリノキ/ホウチョウギ
ノコギリバ/ヤハズノキ
シラミコロシ/シラミノキ
【学名】Euonymus alatus
【英名】Spindle tree
【成長】やや早い
【移植】簡単
【高さ】1~3m
【用途】公園/紅葉/生け花
【値段】1000円~