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ナラガシワ/ならがしわ/楢柏
Oriental white oak
【ナラガシワとは】
・岩手及び秋田県以南の本州、四国及び九州に分布するブナ科の落葉高木。コナラやミズナラに似るが、葉の縁にカシワと同じような波形の大きなギザギザがあるため、ナラガシワと名付けられた。
・ナラかカシワかはっきりしない名前に多少モヤモヤするが、いづれもブナ科コナラ属に属し、交雑もよく生じる。日本以外では朝鮮半島南部、中国東北部、ベトナム、タイ、ミャンマーなどの東南アジアに広く分布する。
・樹皮にはクヌギと同じような裂け目があり、樹液にクワガタやカブトムシが集まる木として知られる。また、秋にできる実は硬い殻で覆われ、いわゆるドングリのなる木の一つである。
・葉は先端が尖った楕円形で形状はミズナラに似るが、長さは10~25センチにもなり、ミズナラより大きく、古来はホオノキと同じように食物を盛るのに使われた。葉の付け根にある葉柄は長さが2~3センチもあり、ミズナラやカシワのそれとは異なる。
・葉は革質で裏面には細かな毛が多く、遠目からでも白っぽく見える。秋には綺麗に黄葉し、その後、カシワと同じように枯れた葉が枝に残るが、カシワのように縁起を担がれることはない。ただし、カシワの少ない関西では柏餅に本種を代用することもある。
・ナラガシワの花は葉の展開と同じ4~5月に咲く。雌雄同株で他のコナラ属と同じように雄花は長さ5~7センチのクリーム色をした穂状。新枝の下部から垂れ下がる。雌花は新枝の上部にある葉の脇に数個ずつ上向きにできる。ドングリは直径2センチほどの楕円形で全面が微毛で覆われ、開花した年の秋に成熟する。
・樹皮は濃い灰色を帯びた褐色で、樹齢を重ねると不規則に剥離する。材は粗く、幹の曲がりも多いため簡単な器具材以外には材木としての需要がない。しかし、成長の早さを利用して薪に使われ、樹皮は染料に用いる。
【ナラガシワの育て方のポイント】
・自生地は山地が多いが、川岸や海岸沿いにも育つことがある。いずれにしても腐植質の多い湿った土壌を好み、乾燥が厳しい場所では不健全な葉になる。
・環境に合えば丈夫に育つが、昆虫に人気の木であり、蝶や蛾の幼虫に葉を食害されることもある。意図的に昆虫を集めたり、育てたりしたいという場合以外は、庭木として用いることは少ない。
【ナラガシワの品種】
葉が鮮やかな黄色になる品種。カシワではなく本種の園芸品種とされる。
【ナラガシワに似ている木】
・コナラ
・ミズナラ
・カシワ
【ナラガシワとコナラの違い】
・コナラと同じような場所に生えるが、コナラは葉の縁がギザギザしているが、本種は波打ったようになる。また、ナラガシワの葉の裏面はコナラよりも白っぽく見える。
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ナラガシワの基本データ
【分類】ブナ科/コナラ属
落葉広葉/高木
【漢字】楢柏(ならがしわ)
【別名】カシワナラ
【学名】Quercus aliena
【英名】Oriental white oak
【成長】早い
【移植】簡単
【高さ】15m~30m
【用途】雑木の庭/昆虫用の食餌
【値段】3000円~