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トウカエデ/とうかえで/唐楓
Trident maple
【トウカエデとは】
・中国東南部の揚子江沿岸地帯及び台湾を原産とするカエデの仲間。紅葉や新緑が美しい上に、乾燥、大気汚染、病害虫に強いため街路樹として植栽されることが多い。一般的にはあまり名前が知れ渡っていないが、街路樹としての本数はランキングの上位に入る。
・「トウカエデ」は唐(中国)の楓という意味。江戸時代(享保9年)に中国から徳川幕府に寄贈されたのが始まりで、当初は江戸城や大名の庭にのみ植えられていたが、明治以降になって庶民の間にも広まった。現在では北海道から九州まで日本各地に植栽される。
・葉は長さ4~9センチ、幅2~5センチほどで長い葉柄がある。漢名及び別名はサンカクカエデで、英名の「Trident」も「三叉」を意味するが、浅く三つに裂けた葉になるものもあれば、卵形に近いものもある。また幼木の葉は縁にギザギザがあるが、成木ではそれがなく、葉の形状は多様である。葉の上面は光沢があり、裏面は白っぽい青緑色になる。また、新芽には白い軟毛があり、若木は葉の縁にギザギザがある。
・トウカエデの開花は4~5月。その年に伸びた枝の先に花序を伸ばし、淡い黄色の雄花と両性花を同一の花序に咲かせる。よく見ると花弁と萼片が5個ずつあり、それなりに花っぽいが、あまり目立たず話題にもならない。花柱と子房には白い毛を生じる。
・花の後には長さ1.5~2センチほどの果実ができる。形はイロハモミジとのそれと同じような感じだが、プロペラの羽根部分はあまり開かない。果実は10月頃に熟し、種子を蒔けば容易に増やすことができる。1本の木にできる種子の数は、カエデ類の中でも相当多い部類に属する。
・樹皮は灰褐色で若木のうちはツルツルしているが、樹齢を重ねると縦に剥離し、幹はコブ状になってくる。枝は丈夫で剪定に強く、幹に独特の味わいがあることから盆栽として使われることも多い。
【トウカエデの育て方のポイント】
・イロハモミジなどいわゆる普通のカエデは湿気と養分のある場所を好むが、本種は日向であれば土質を選ばず丈夫に育ち、大気汚染の厳しい場所や痩せ地にも耐える。ただし、市街地など高温になりやすい場所では紅葉が綺麗になりにくい。
・堅い枝が密生するため、長期間管理された生垣は容易に人が潜り抜けられないほどになる。落葉樹であり、目隠しにはならないが人の侵入を防ぐにはある程度効果がある。
・材が非常に硬くて剪定しにくい。また、強剪定によって姿を乱しやすい。縦方向への成長が大きく、枝振りを観賞するには相当なスペースが必要になる。狭い庭に単独で植えるような使い方は難しい。
【トウカエデの品種】
・ハナチルサト(花散里)
トウカエデの改良品種でいわゆるガーデニングに多用される。新葉は薄ピンクやクリーム色で、その後、季節の移ろいと共に濃緑、紅、紫と葉色が変化していく。葉が七色に変化するとしてメープルレインボーという別名もある。大きく育てると全体に明るい雰囲気になるが、原種よりも寒さに弱い。
・斑入りトウカエデ
葉に白い模様が入る品種。ハナチルサトほどではないが明るめの印象を持つため、洋風の住宅にも似合う。
・タイワントウカエデ
台湾産の品種で枝葉の分岐が多く、紅葉がより美しい。台湾から伏見宮家に移入したものを母樹としており、「宮様楓」とも呼ばれる。
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トウカエデの基本データ
【分類】ムクロジ科/カエデ属
落葉広葉/高木
【漢字】唐楓/三角楓(とうかえで)
【別名】サンカクカエデ
【学名】Acer buergerianum
【英名】Trident maple
【成長】かなり早い
【移植】簡単
【高さ】10m~20m
【用途】街路樹/公園/盆栽
【値段】1500円~