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タニウツギ/たにうつぎ/谷空木
Japanese weigela
【タニウツギとは】
・北海道西部から山陰地方の日本海側を中心に分布するスイカズラ科の落葉低木。初夏に咲く花は色鮮やかで、満開時には枝が垂れるほどに咲き誇る。環境への適応力が高く、管理の手間もかからないため、都市部の公園等に植栽される。
・ウツギ(アジサイ科)の仲間ではないが、山地の谷沿いに自生し、ウツギと同じ頃に花が咲くことからタニウツギと命名された。普段はあまり目立たない木だが、意外に個体数は多く、花期になると至るところで見受けられる。
・開花が田植えの頃であるためタウエバナ、花色が火事を連想させるとしてカジバナという別名がある。また、タニウツギの枝で遺骨を拾う箸を作ったとされ、ソウシキバナ(葬式花)やシビトバナ(死人花)といった不吉な別名もあり、地方によっては忌み嫌われる。
・開花は5~6月で枝先や上方にある葉の脇に、漏斗状の花が2~3輪ずつ咲く。花は直径2~3センチで花先は五つに裂け、内側よりも外側の方が濃いピンク色になる。中央には先端が丸みを帯びた1本の雌しべ(柱頭)があり、その周りを5本の雄しべが取り囲む。
・花の基部にある萼は濃い紅色で、細かな毛を生じる。萼も花先同様に五つに裂け、先端は線形になる。花の後には乾いた果実ができ、10月頃に熟すと先端が二つに裂ける。
・タニウツギの葉は枝から対になって生じる対生で、先端は尖り、基部は丸みを帯びる。幹は中空で枝は分岐が多い。
・タニウツギ属は北アメリカ、中国、朝鮮半島及び日本などに全12種ほどあるが、そのうち10種類は日本に自生する。エネルギッシュなピンクが印象的だが、花の色はピンクに限らない。
【タニウツギの育て方のポイント】
・自生は日当たりの良い斜面が多く、日向であれば土質を選ばず丈夫に育ち、花つきも良い。
・半日陰でも育つため、大木の下の植えつぶしとして使うことができる。
・株元から枝が乱立かつ分岐して樹形が揃いにくいため、本来は好んで庭園に使うような木ではないが、手軽に入手できるため、個人邸でも見られる。
・成長が早く、放置すれば大株になる。他の植木の生長を阻害しないよう、定期的に株を根元で切って更新するのがベター。
【タニウツギの品種】
・花の色によって以下のような品種がある。
シロバナタニウツギ(白)、ニシキウツギ(白から紅へ変化するが花数は少ない)、キバナウツギ(黄)、オオベニウツギ(真紅に近い花を咲かせる)
・「コウタラー」
ヨーロッパから導入された品種。花の色が柔らかで、株も大きくなりくいことから一般家庭向けといえる品種
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タニウツギの基本データ
【分類】スイカズラ科/タニウツギ属
落葉広葉/低木~小高木
【漢字】谷空木(たにうつぎ)
【別名】ベニウツギ(紅空木)
タウエバナ/カジバナ
【学名】Weigela hortensis
【英名】Japanese weigela
【成長】早い
【移植】普通
【高さ】2m~5m
【用途】花木・公園
【値段】1000円~