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オノオレカンバ/おのおれかんば/斧折樺
Ono-ore kamba tree(Japanese hard birch)
【オノオレカンバとは】
・中部地方以北の本州に自生するカバノキ科の落葉高木。1年に0.2ミリしか太らないといわれるほど成長が遅く、斧が折れるほどに材が硬い樺の木として命名された。
・主に太平洋側の山地に見られ、峯に張り出すように生えることからミネバリという別名がある。繁殖に時間を要するため庭木としての流通はなく、器具材としての需要が多い。日本以外では中国の東北部や朝鮮半島に自生が見られる。
・オノオレカンバの葉は枝から互い違いに生じ、先端の尖った卵形となる。葉の縁にはカバノキの中で最も細かなギザギザがある。葉の長さは4~8センチ、幅2~3センチほど。秋には黄葉する。
・ほとんど目立たないが、葉が展開する直前の5月頃に雌雄それぞれの花を咲かせる。雄花は長さ4~6センチで前年の秋から尻尾のように垂れ下がった花序に開花し、雌花は長さ2~3センチで短い枝の先に直立する。雌雄同株。
・雌花の後には円柱状の果穂ができ、中には楕円形の種子が入る。種子は直径2ミリほどで、翼がほとんどないのが特徴。
・樹皮は暗い褐色~灰色で、木が若いうちは横皴が入る程度だが、樹齢を重ねると画像のように樹皮が折れ重なるほどに剥離する。成長は遅いが年月を費やして直径70センチほどに達する。
・材の比重は1に近く、水に沈むものもあるほど。磨けばマカンバ(ウダイカンバ)よりも光沢の美しい仕上がりとなり、印鑑、箸、櫛(木曽の「お六櫛」が有名)、しゃもじ、靴ベラ、楽器(マリンバ)などに利用される。
【オノオレカンバの育て方のポイント】
・自生地は標高500~1,500mの岩が多い山地。寒冷な土地を好み、暖地ではあまり健全に育たない。
・乾燥にもやや弱く、都市部の厳しい日照や乾燥に対する耐性は低い。
・観賞用としては地味な木であり、黄葉が数少ない魅力だが、暖地では汚らしくなるか、早々に落葉する。
【オノオレカンバに似た木】
・シラカバ
オノオレカンバの基本データ
【分類】カバノキ科/カバノキ属
落葉広葉/低木
【漢字】斧折樺(おのおれかんば)
【別名】オノオレ/ミネバリ
【学名】Betula schmidtii Regel
【英名】Ono-ore kamba tree
(Japanese hard birch)
【成長】かなり遅い
【移植】普通
【高さ】5m~15m
【用途】材木
【値段】─(植木としての流通はほぼない)