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ウメモドキ/うめもどき/梅擬
Japanese winterberry
【ウメモドキとは】
・本州、四国及九州に分布するモチノキ科モチノキ属の落葉低木。山間の湿地や雑木林に自生するが、晩秋にできる赤い果実が美しく、庭木、盆栽、生け花の花材としても利用される。モチノキの仲間では数少ない落葉樹だが、日本以外でも中国に自生する。
・ウメモドキという名の由来には、花や実の様子を紅梅に見たてたという説、枝ぶりや葉の様子がウメに似ることによるとする説がある。日本庭園では赤実を珍重するため、冒頭の画像のように灯篭などに添えて使われることが多い。
・葉は長さ3~8センチの長楕円形で先端は鋭く尖り、縁には細かなギザギザがある。葉柄、葉の裏面の葉脈上、若い枝には細かな毛が密生。葉は枝から互い違いに生じる。
・開花は6月頃で、4~5枚の花弁を持つ淡紫色の小さな花が、葉の脇に集まって咲く。雌雄異株で、雄の木に咲く雄花には4~5本の雄しべと退化した雌しべがあり、雌の木に咲く雌花は中央にある緑色の子房が目立ち、その周囲を退化した雄しべが囲む。雌雄いずれも直径3ミリほどで目立たず、花の軸(花柄)はごく短いため、枝から直接花が咲いているように見える。
・雌花の後には球形の果実が密生し、9~10月に熟す。でき始めの実は黄色で、寒さが増すにつれて赤くなるため、ウメモドキを「落霜紅(うめもどき)」と表記することがある。果実は無味で食用にならない。野鳥が好むとされるが、キジバトやショウビタキなどの少数派を除いた野鳥はこれを採食しないため、翌春まで枝に残って萎れていることが多い。
【ウメモドキの育て方のポイント】
・実のなりがよいことに加え、樹形の乱れが少なくて育てやすいため初心者でも楽しめるが、雌雄異株であり、実を楽しむには雌の木を植える必要がある。
・萌芽力があり剪定にも強い。ただし、花が咲くのはその年に伸びた葉の脇であり、剪定の時期を考慮する必要がある。
・日向を好むが、実の成りを考慮っしなければ日陰でも育つ。
・自生地は上記のとおりだが、北海道でも南部であれば栽培できる。本来は湿気のある肥沃な土を好むが、あまり土質を選ばずに育つ。
・基本的には病害虫に強いものの、モチノキと同じようにカイガラムシの被害に遭うことや、葉の表面が黒くなる「すす病」に罹ることがある。
【ウメモドキの品種】
・シロウメモドキ
白い実をつける園芸品種で、シロミノウメモドキともいう。赤い実がなるウメモドキよりも品位は劣るとされる。
・キミノウメモドキ~黄色い実をつける。
・コショウウメモドキ(胡椒梅)~盆栽に適した矮性種。
・イヌウメモドキ~葉の裏面や葉柄に毛がない。
・大納言~大きめの実ができる。
・源平~実に模様が入る。
【ウメモドキに似た花木】
・アオハダ
リースなどに使われるニシキギ科のツル性植物
・フウリンウメモドキ
果柄が長さ2~4センチで、風鈴を思わせる果実ができる品種。落葉樹だが雰囲気はソヨゴに近い。本州、四国及び九州に分布するが個体数は減っており、絶滅が危惧される。
・ミヤマウメモドキ
文字どおり深山に分布する品種で、ウメモドキに比べると葉は小さく、葉先が太い。果柄はウメモドキ同様に短い。
ウメモドキの基本データ
【分類】モチノキ科/モチノキ属
落葉広葉/低木
【漢字】梅擬(うめもどき)
【別名】ムメモドキ/ウメボトケ
オオバウメモドキ/落霜紅
【学名】Ilex serrata
【英名】Japanese winterberry
【成長】普通
【移植】簡単
【高さ】2~5m
【用途】花木/シンボルツリー
盆栽/生け花
【値段】800円~