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イヌシデ/いぬしで/犬四手
Chonowski's hornbeam
【イヌシデとは】
・東北北部を除く本州、四国及び九州に分布するカバノキ科の落葉樹。コナラなどと共に雑木林や丘陵地で普通に見られる木だが、雑木の庭や盆栽に使われる。日本以外では朝鮮半島や中国に分布。
・「イヌ」は「異なる」を、「シデ」は「四手」あるいは「紙垂」で、注連縄(しめなわ)や玉串に垂らす紙片を意味する。花穂あるいは果穂が四手に似ること、アカシデやクマシデとは異なることからイヌシデと呼ばれる。
・開花は春先(3~5月)で葉の展開と同時。雌雄同株で花には雌雄ある。雌花は淡いピンク色で、その年に伸びた枝の先で上向きに咲き、苞に包まれた黄褐色の雄花は長さ4~5センチで、前年に伸びた枝から多数が連なって紐状で垂れ下がる。
・雌花は花が終わると苞が大きくなって垂れ下がり、果穂になる。果穂は長さ6センチほどで、でき始めは淡い緑色だが、10月頃に熟すと黄褐色になる。種子は果穂を構成する果苞の基部にあり、風に乗って拡散される。
・葉は長さ4~8センチの卵形で枝から互い違いに生じる。12~15対ある葉脈が目立ち、若い枝葉は全体に毛が多い。環境が良ければ11~12月に黄葉するが長持ちせず、新緑の方が美しい。冬芽は12~14個の芽鱗に包まれて赤褐色に光る。
・樹皮は灰白色で凹凸は少ないが、老木になると浅い裂け目ができる。成長とともに幹は曲がりくねり、根元付近が窪んだり、地衣類が付着して白い縦縞模様が入ったりして味わい深い。盆栽の世界ではこの仲間を「ソロ」と呼び、主に幹や根張りの様子を観賞する。材は稀に建築、器具、薪に使われる。
【イヌシデの育て方のポイント】
・日当たりの良い場所であれば、土質を選ばずに育つ。
・成長が早く、病害虫にも強い。
・自然な枝振りが美しいため、手入れは難しいものの、芽を出す力が強く、剪定には耐える。
【イヌシデの品種】
枝が垂れる品種で、東京と栃木に自生する。
【イヌシデの見分け方】
・イヌシデとアカシデの見分け方
幹は似ているが、イヌシデの方が葉は大きい。またアカシデは葉柄を含めて木全体が多少赤みを帯びているが、イヌシデは緑色~褐色で色には特徴がない。イヌシデを「シロソロ」、アカシデを「アカソロ」と呼んで区別することもある。また、イヌシデは若い枝葉に毛が多いが、アカシデにはない。毛があるためイヌシデとなったとする説もある(同様のことはイヌブナとブナの関係にも見られる。)。
・イヌシデとクマシデの見分け方
クマシデの方が、葉脈が多く、葉が全体にゴワゴワとした印象を持つ。
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イヌシデの基本データ
【分類】カバノキ科 クマシデ属
落葉広葉/高木
【漢字】犬四手/犬紙垂(いぬしで)
【別名】ソロ/シロシデ
ソネ/シロ
【学名】Carpinus tschonoskii Max.
【英名】Chonowski's hornbeam
【成長】早い
【移植】簡単
【高さ】12~20m
【用途】公園/雑木の庭/盆栽
【値段】800円~