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イチヨウ/いちよう/一葉(桜)
Ichiyou-sakura(Japanese blooming cherry)
【イチヨウとは】
・オオシマザクラ系統に属するサトザクラの代表的な品種。西日本にはあまり普及しておらず、一般的な知名度は高くないが、関東地方では数多く植栽される。毎年、総理大臣が主催する「桜を見る会」の主役はこのサクラ。
・江戸時代以前に作出され、荒川堤で保護されていたものが、江戸時代後期になって全国へ広がった。新宿御苑や台東区の小松橋通り、光月通りなどが名所とされ、後者においては例年「一葉桜祭り」が開催される。
・ギンナンがなるイチョウ(銀杏)と見間違われやすい名前は、花の中央にある黄緑色の雌しべに由来する。雌しべは普通1~2本で、花の中から葉っぱが1枚突き出るかのように見えるが、雌しべがまったく見えない花もある。
・イチヨウの開花はソメイヨシノの花が終わる4月中旬から下旬で、フゲンゾウやカンザンなどのサトザクラよりはほんの少し早い。蕾は淡いピンク色で花も咲き始めは淡いピンク色だが、次第に真っ白になる。
・花は直径4~5センチほどの大輪で、花弁は20~35枚もあり、いわゆる八重咲きになる。枝から垂れ下がるように咲くが、全体に縮れて見えるのが特徴。
・葉は開花と同時あるいはやや遅れて展開する。他のサトザクラと同じような楕円形で、先端は大きく尖る。枝から互い違いに生じ、条件が良ければ秋に紅葉するが、それほど綺麗ではない。
・枝はソメイヨシノのように真横に伸びず、やや斜め上めがけて伸びるため、庭木としても使いやすい。幹は樹齢を重ねると縦に裂け目が入る。
【イチヨウの育て方のポイント】
・街路樹に使われるほど丈夫な性質を持ち、土質はあまり選ばずに育つが、保水性と排水性があり、養分に富む土であればなお良い。
・花を楽しむには日向に植える必要があるが、乾燥には弱い。特に夏の強い西日は苦手とする。
・最大樹高は10mほどでサトザクラの中では大きな部類に入るが剪定には弱い。剪定しすぎると樹勢が衰えて花数が減る。内部の枯れこんだ枝を切除する程度にとどめたい。
・他のサクラ類同様、日照と風通しの悪い場所では病害虫の被害に遭いやすい。病害虫は見つけ次第、枝葉ごと除去する。
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イチヨウの基本データ
【分類】バラ科 サクラ属
落葉広葉 高木
【漢字】一葉(いちよう)
【別名】イチヨウザクラ
【学名】Cerasus lannensiana
'Ichiyo' Koidzumi
【英名】Ichiyou-sakura
(Japanese blooming cherry)
【成長】やや早い
【移植】やや難しい
【高さ】4~10m
【用途】公園/庭園
【値段】2,000円~