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アンズ/あんず/杏
Common apricot
【アンズとは】
・中国北部及びモンゴル周辺あるいはネパールやブータンなどを原産とするバラ科アンズ属の落葉小高木。果実の収穫や花の観賞を目的として全国で栽培されるが、商用アンズの生産は長野県が多く、山形県と山梨県がそれに次ぐ。
・日本に渡来したのは奈良時代で、平安時代には薬用植物として栽培されていた。当初は「中国の桃」を意味する「カラモモ(唐桃)」と呼ばれており、万葉集にも唐桃として登場する。その後、中国で「杏子」と書いてアンズと呼んでいることが分かったため、これに倣って江戸時代以降、日本でもアンズと呼ぶようになった。近年ではアプリコットという英語名の方が一般的か。
・3~4月に咲く花は、果樹の中では群を抜いて美しい。ウメやスモモに似るがこれらよりも大きく、一箇所から複数の花柄が出るため花数も多く、ウメと違って萼が反り返る。花が咲くのは葉が展開する前で、5枚ある花弁は円形で、淡い紅色になるのが基本。1本の雌しべ(花柱)を多数の雄しべが囲んでおり、短い花柄がある。
・アンズの実は初夏に黄熟し、6~7月に収穫される。果肉は酸味が強いため、生食用のアンズは稀であり、ジャム、シロップ漬け、果実酒、ドライフルーツといった加工品として利用される。
・アンズの種子は生薬名を「杏仁(キョウニン)」といい、咳止めや点心料理の杏仁豆腐に使われる。種子は核の中にあり、核は果肉から離れるようにできるのが特徴。
・学名には旧ソ連のアルメニア共和国の名が使われているが、これはヨーロッパに初めて伝わった際、アルメニア産だと勘違いされたことに由来する。
【アンズの育て方のポイント】
・寒さに強く、空気が乾燥した寒冷地を中心に栽培される。栽培適地はリンゴと同一。夏の気温が高いところでは早々に落葉する。
・日当たりを好み、日陰では生育が悪い。また、水はけの良い肥沃な土地を好む。
・実付きをよくするためには芯を止め、短い枝を数多く残すようにして、なおかつ人工授粉を行う。上手に管理すれば毎年たくさんの収穫を楽しむことができる。
【アンズの品種】
・栽培品種にはヨーロッパ系と東アジア系のものがあるが、家庭用としては「甚四郎」「新潟大実」「平和」といった品種が向いている。また、花が白いシロアンズもある。
【アンズに似ている木】
・ウメ
・スモモ
・モモ
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アンズの基本データ
【分類】バラ科/アンズ属
落葉広葉/小高木
【漢字】杏/杏子(あんず)
【別名】カラモモ/アプリコット
【学名】Prunus armeniaca
【英名】Common apricot
【成長】早い
【移植】簡単
【高さ】3m~15m
【用途】花木/果樹/シンボルツリー
【値段】1000円~