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アブラギリ/あぶらぎり/油桐
Aburagiri tree/Tung tree
【アブラギリとは】
・トウダイグサ科の落葉高木。種子から桐油を採取するため江戸時代前期に中国から伝播した。葉や果実がキリに似ることから「アブラギリ」と名付けられた。日本の中部地方以西の本州、四国及び九州に自生するという説もあるが真相は不明。
・桐油は耐水性、防虫効果があり、フローリングや木製家具の艶出しのほか、塗料、印刷などの工業目的に使われる。この油は油紙にも使われ、かつては油紙で合羽、番傘、提灯などを作った。ただし油は有毒であるため、食用になるエゴマ(荏胡麻)との対比で、ドクエ(毒荏)という別名が与えられた。
・その昔、中国では国の財政を左右するほどの重要な資源とされた。日本でも国策として植栽を奨励した時代があったが、現代では役目を終えたものが山野に放置される。
・雌雄異株で5月から6月にかけて直径2センチほどの小さな白花が円錐状に集まって咲く。中心部が黄色から赤へと変化する。花の後にできる実は浅く三つに割れた楕円形で、10月頃、黄褐色に熟す。種子にはエレオステアリン酸を含み、食べると嘔吐、下痢の症状を引き起こす。
・葉の形は環境や成長段階によって大きく変わり、ハート型になるもの、卵型になるもの、2~3つに裂けるものなどがある。変種も多い。葉には油分があって御飯など粘りのあるものを包むのに適しているため、福井にある永平寺付近ではアブラギリの葉で寿司を包む郷土料理がある。このため同地ではアブラギリを「お寿司の木」と呼ぶ。
・材は柔らかで加工しやすいためキリと同様にゲタや木箱などを作るのに適す。樹皮は画像のとおりだが、染料に使われ、樹齢を重ねると縦に亀裂が入る。また、アブラギリの材で作った炭は粒子が柔らかなため、漆器等を仕上げる研磨用の「駿河炭」として重用された。
【アブラギリの育て方のポイント】
・日向を好み、桐と同じようによく育ち、枝張りも大きい。かなりの大木となるため、庭木としてあえて植えるような樹種ではない。
【アブラギリの品種】
・シナアブラギリ
雌雄同株で果実が丸い。日本でも普通に見られる。
アブラギリの基本データ
【分類】トウダイグサ科
アブラギリ属
落葉広葉/高木
【漢字】油桐(あぶらぎり)
【別名】ククイノキ(本来は別の木)
ドクエ/コロビ
【学名】Vernicia cordata
【英名】Aburagiri tree
Tung tree
【成長】早い
【移植】ふつう
【高さ】10m~15m
【用途】特用樹
【値段】1500円~