庭木図鑑 植木ペディア > アカメヤナギ
アカメヤナギ/あかめやなぎ/赤芽柳
Red Budding Salix
【アカメヤナギとは】
・本州、四国及び九州に分布するヤナギ科の落葉高木。低地の河原や谷間などの湿地で普通に見られるヤナギで、新葉が赤みを帯びるためアカメヤナギと名付けられた。日本以外でも朝鮮半島や中国に分布する。
・水辺に育つヤナギの仲間の中では最も芽吹きが遅く、最も遅く種子(柳絮)を飛ばす。若い枝葉は細かな毛があって黄緑色だが、すぐ無毛となる。夏に至るまで次々に展開する新葉や葉柄は特に日向で赤くなり、秋から冬の時季はアカメヤナギという名にふさわしい色味になる。
・葉は長楕円形で先端が尖り、縁には微かなギザギザがあるが、シダレヤナギなどに比べると丸みがあるため、別名をマルバヤナギという。成葉の表面は濃緑色で光沢があり、裏面は粉を吹いたように白くなる。
・葉が丸みを帯びるヤナギは他にもあるが、本種の特徴は葉の付け根にある托葉(小さな葉のようなもの)で、マフラーのように枝を一周し、その縁は線状に尖る。
・アカメヤナギの開花は新葉が展開し終えた4~5月。枝先に伸びた花序に黄色い小花が密生する。雌雄異株で雄の木に咲く雄花には3~5個の雄しべがあり、雌の木の雄しべは退化している。雌花の花柱は短く、その先端(柱頭)は二つに裂け、ツルツルした子房には細長い柄がある。
・花の後には果実ができ、5~6月に熟すと自然に裂けて綿毛のある種子が飛び立つ。種子が飛び立つ様、あるいは種子そのものを柳絮(りゅうじょ)という。「柳絮の才」は非凡な才女を意味するが、これは、降雪をヤナギの種子が舞う様子に見立てた中国の故事に由来する。
・アカメヤナギの樹高は最大で5mほどだが、幹の直径は1mにも達する。根が浅くて自重に耐えられないのか、湿地では画像のように倒れたものや、支柱に支えられたものを見掛けることが多い。成木の樹皮は灰褐色で網目模様になる。
【アカメヤナギの育て方のポイント】
・代表的な陽樹(=光を好む木)であり、日照が不可欠だが、自生は水辺であり、湿った場所を好む。
・やや粘土質の肥沃地を好むが、土質を選ばずに育つ。
・病害虫に強いがテッポウムシ、ハムシ、カミキリムシ、うどん粉病などの被害に遭うこともある。また、大気汚染の激しい都市部では夏季に葉を落とすことがある。
・成長が早く大木となりやすいため植栽には広大なスペースが必要。剪定にはかなり耐え、棒状に切断しても再生する。剪定の適期は冬から春だが、芽出す力が強く、ほぼ一年中可能。
・根の張りが浅く、台風などの強風で倒れやすいため、植栽後は支柱を添えた方がいい。ちなみに倒れたものを放置していても育ち続けるほど性質は強い。
【アカメヤナギに似た木】
・フリソデヤナギ
花芽が赤くなるフリソデヤナギにもアカメヤナギという別名があって紛らわしいが、葉の様子が全く異なる。
アカメヤナギの基本データ
【分類】ヤナギ科/ヤナギ属
落葉広葉/小高木
【学名】Salix chaenomeloides
【別名】マルバヤナギ
【成長】早い
【移植】難しい
【高さ】3~5m
【用途】雑木
【値段】─(流通はほぼない)