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アカメガシワ/あかめがしわ/赤芽柏
Japanese Mallotus
【アカメガシワとは】
・東南アジアの山地に見られるトウダイグサ科の落葉樹。日本では北海道を除く各地に見られ、山地の林縁や伐採跡地などの荒れ地に多い。晩春の芽吹きが鮮やかな紅色で、葉の形あるいは用途(後述)がカシワに似るとしてアカメガシワと命名された。
・新葉は生け花の花材として使われるが、基本的には雑草と共に藪の端にあるような木であり、人為的に植栽されるのは稀である。新葉と葉柄が赤く見えるのは、表面に赤毛が星形に密生するためで、それが落下した夏の葉は緑色になるが、新葉でも手で擦って毛を落とせば緑色が見える。
・葉は長さ7~20センチ、幅5~15センチで長い柄があり、枝から互い違いに生じる。形状は環境や個体によって様々だが、若い木では葉の縁が浅く三つに裂けるものが多い。3本の葉脈が目立ち、両面とも細かな毛で覆われる。一般的には落葉性であるが、暖地では冬でも葉を落とさないことがある。
・アカメガシワの葉はその大きさを利用して、神仏への御供え、団子や寿司を包むのに使われ、ゴサイバ(五菜葉)、サイモリバ(菜盛葉)」といった地方名が残る。現代において柏はブナ科のカシワを表すが、江戸時代の初期までは本種やホオノキをカシワと呼んで、端午の節句の柏餅に使った。
・若芽と新葉には独特な臭いがあるが、柔らかい時季であれば天婦羅やお浸し、和え物にして食べることができる。また、健康食品、ダイエット食品として「アカメガシワ茶」が売られている。
・アカメガシワの開花は5~7月頃で、小枝の先に小さな花が円錐状に集まる。雌雄異株だが雌雄とも花に花弁はなく、2~4つに裂ける萼がある。雄花には多数の雄しべがあり、全体に黄色っぽく見える。雌花には黄色あるいはオレンジ色をした虫の触角のような花柱が2~3本あり、全体的に赤っぽく見える。
・雌花の後にできる果実は外側に柔らかな棘があるのが特徴。暗褐色の艶やかな色に熟すのは10月頃で、乾燥すると三つに裂け、中に含まれる直径4ミリほどの球形の黒い種子が顔を現す。果実は堅くて無味。食用にならないが、多くの野鳥の食餌となり、特にメジロやキツツキの仲間がこれを好んで種子を拡散するため、繁殖力は高い。
・幹や枝の出方は直線的で面白みがないものの、「ヒサキ」の名で歌に詠まれ、いわゆる「万葉植物」に数えられる。正倉院の染紙「比佐木紙(ひさきし)」は煮出した葉から作った染料で黒染したもの。
・幹の直径は最大30センチほど。若木の樹皮は白くて美しいが、樹齢を経ると灰褐色になり、浅い割れ目によって網目模様が生じる。材は建築や器具材に使用。樹皮にはタンニン及びベルゲニンという苦味物質が含まれるが、胃潰瘍に効くとして注目を浴びた時期があった。
・民間療法では生の葉をつぶしたものが、腫れ、できもの、痛み止めなどに効くとする俗説があるが、これは漢方が日本に紹介された際、本種をキササゲと混同したことによるもの。
【アカメガシワの育て方のポイント】
・伐採の跡地で真っ先に生える木の一つであり、非常に丈夫な性質を持つ。土質を選ばず、藪の中でも育つが、基本的には日向を好む。
・成長が早く、大木となりやすいが、春から秋まで次々に枝を出すため、剪定で形を整えるのは難しい。幹は直立せず斜め上に開いて育ち、枝張りが大きくなりやすい。広大なスペースで放任して育てるのが理想的。
・一般家庭で庭木として使うような木ではないが、以下のような品種は珍重され、鉢植えとして観賞することがある。
【アカメガシワの品種】
・斑入りアカメガシワ
葉に模様が入る品種で園芸用として稀に流通する。
【アカメガシワに似ている木】
中国原産で美しい若葉を観賞するため庭木としてより積極的に使われる。アカメガシワの近縁種ではあるがアミガサギリ属に属する。
・クスノハガシワ
九州及び沖縄に分布する品種で、葉の幅がより狭く、クスノキに似るとして命名された。果実は鮮やかな紅色になる。
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アカメガシワの基本データ
【分類】トウダイグサ科/アカメガシワ属
落葉広葉/高木
【漢字】赤芽柏/赤芽槲(あかめがしわ)
【別名】ヒサキ/アズサ/ゴサバ
ゴサイバ/サイモリバ
【学名】Mallotus japonicus
【英名】Japanese Mallotus
【成長】早い
【移植】難しい
【高さ】5m~15m
【用途】雑木/公園
【値段】2000円~