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アオダモ/あおだも/青梻
Aodamo tree(Japanese ash)
【アオダモとは】
・北海道から九州まで日本各地に分布するモクセイ科の落葉樹。山地に自生するアラゲアオダモの一品種で、春先に咲く花、涼しげな枝ぶり、幹に浮かぶ白点に観賞価値があるとして庭のシンボルツリーに使われる。別名はコバノトネリコで、近年人気のあるシマトネリコは本種の近縁種。
・アオダモの開花は4月~5月で、花の色は白又はクリーム色。小さな花が円錐状に集まり、樹冠を覆うように咲く。雌雄異株で、雄株に咲く雄花には2本の雄しべが、雌株に咲く雌花には1本の雌しべと退化した雄しべがある。一見するとモヤシのような花だが、細い花弁が4枚ある。
・雌花の後にはシマトネリコと同じような豆状の乾いた果実ができ、10月頃になると褐色に熟す。果実の長さは3センチほどで翼があり、これによって母樹から離れた場所に飛んでいく。
・葉は長さ4~10センチの小葉が奇数枚(3、5,7枚)集まってできている。葉の先端は尖り、縁には細かなギザギザがある。母種であるアラゲアオダモの枝葉や花序には毛があるが、本種は無毛なのが特徴。
・樹皮は白っぽい灰色で、大きな剥離や皺はなく滑らか。成長が遅いため、大木では表面に地衣類が付着して模様のように見えることが多い。アオダモの材にはエスクリンという物質が含まれ、表皮を剥ぐと緑色の木肌が現れる。二年目以降の切り枝を水に浸すと水が淡い青みを帯びることからアオダモと名付けられた。
・「ダモ」は木の様子が似たタブノキが転訛したものとする説、トネリコの地方名とする説、材が曲がりに強いことを意味する「撓める(たわめる)木」が転訛したとする説などがある。実際にはタブノキとアオダモは似ていない。
・アオダモの材は硬くて粘り気があり、衝撃に強いため、野球のバットやテニスのラケットに使われる。現在ではメープル材が主流であるが、かつてはイチロー選手を始めとしたプロ野球選手の多くがアオダモ製のバットを愛用していた。木目は真っすぐで年輪がはっきりしており、一般にタモ材として流通するヤチダモやシオジよりも硬い。
・名前が似ているため、アオハダと混同されやすいが、アオダモとアオハダは全く異なる(詳細は下記)
【アオダモの育て方のポイント】
・シンボルツリーとして単独で植えても、それなりの風景を作ることができるが、成長が遅めであり、見映えのするものは値段が高め。
・病害虫に強く、成長も緩やかであるため管理しやすい。
・土質は選ばないが、日当たりと水はけの良い場所を好む。
・花や実は毎年できるとは限らない。自然界においては数年に一度、大豊作となり、その後しばらくは花や実が減り続ける状態を繰り返す。
・剪定することも可能だが、自然樹形を楽しむ木であり、刈り込むような手入れをするのは好ましくない。また、花はその年に伸びた枝に咲くため、春先に剪定すると開花や結実は望めない。
・積雪の多い地方では枝が折れることもあるため、株立ちを選ぶのが望ましい。
【アオダモとアオハダ】
名前が似ているアオダモ(モクセイ科)とアオハダ(モチノキ科)はお店や畑でも近くに植えていることが多く、しばしば混同されるが、葉も花も実も全く異なっており、見分けるのも難しくない。
【アオダモの品種】
・マルバアオダモ
沖縄を除く日本各地の低山に見られる品種。若い葉は名前のとおり丸みを帯びるが、成葉は細長い。「マルバ」は葉の縁にギザギザがないことを意味しており、常に葉が丸いことを意味するわけではない。別名はホソバアオダモ。
このほかにミヤマアオダモ、ヤマトアオダモなどがある。
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アオダモの基本データ
【分類】モクセイ科/トネリコ属
落葉広葉/高木
【漢字】青梻/青椨(あおだも)
【別名】コバノトネリコ
アオタゴ/ニガキ
【学名】Fraxinus sieboldiana Blume
【英名】Aodamo tree(Japanese ash)
【成長】やや遅い
【移植】簡単
【高さ】5m~15m
【用途】シンボルツリー
雑木の庭/公園
【値段】800円~