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アオギリ/あおぎり/梧桐
Chinese parasol tree
【アオギリとは】
・沖縄、台湾、中国南部、ベトナム等の亜熱帯を原産とするアオイ科の落葉樹。奈良時代に日本(本土)へ渡来し、伊豆半島、紀伊半島、四国及び九州南部などの暖地で野生化した(伊豆半島以西の日本も原産地とする説あり)。現代では植木として庭園、街路、公園、校庭等い広く植栽される。
・葉がキリに似て、若い木の樹皮が緑色(昔でいう青)になるためアオギリと呼ばれるが、キリの仲間ではない。漢字表記は「青桐」、「梧桐」(中国名から)などで、「碧梧(へきご)」とすることもある。南国風の葉は大人の顔ほどの大きさをした掌状で、枝から互い違いに生じる。長い柄があって浅く3~5つに裂け、裏面には毛が多い。
・アオギリの開花は5~7月で、枝先に淡い黄色の小花を多数咲かせる。花には花弁がなく、花弁のような萼片が5つある。同じ花序(花の集り)に雄花と雌花が咲く「雌雄同株」で、雄花は10個の花糸が合着して1本の雄しべのようになり、雌花は中央基部にある子房が膨らみ、その下に短い柄がある。一輪一輪の花は小さいが、円錐状に集まり、開花期には遠目からもよく目立つ。花には蜂が集まり、「アオギリはちみつ」という蜂蜜が市販されている。
・雌花の後には内部に褐色の水分を含んだ紡錘状の果実ができ、自然に裂けると五つに分かれ、長さ8センチほどの舟型になる。果皮は葉の様に大きくて細かな脈があり、基部の縁には1~5個の種子ができる。種子が熟すのは10月頃で、これを炒めれば食べることができる。本種との直接的な関係はないが、チョコレートの原料となるカカオの木は同じアオギリ科に属し、アオギリの実はコーヒーの代用にもなる。
・若いアオギリは幹や枝にも葉緑素を含むため緑色となり光合成を行うが、樹齢を重ねると灰白になる。樹皮は丈夫で水に強く、縄や織物に使われた。材は棺を作るのに最良との説もあるがキリほどの需要はない。アオニョロリというやや滑稽な別名は幹の滑らかさによるもの。
・枝や幹は直線的であり、樹形に鑑賞価値は乏しいが、葉が大きくて木陰を作りやすいこと、成長が早いこと、煙害に強いことから公園樹や街路樹として使われる。一般家庭においては、枝葉が広がり過ぎないよう、太い幹を途中で切断した「寸胴切り」という形で管理されることが多い。
・中国では最も古くから栽培される庭木であり、伝説上の霊鳥「鳳凰」が止まった木とされる。吉祥の徴である「桐に鳳凰」の「桐」はキリではなく本種。いわゆる「桐の紋章」や歳時記の「桐一葉」もキリではなく本種がモチーフとされる。
【アオギリの育て方のポイント】
・基本的には温暖な土地を好み、仙台以北では生育が難しい。日当たりが良い場所なら、劣悪な土質でも育つが、本来は砂質土壌を好む。
・切っても切っても芽が出てくることから、コブ状に剪定されることが多い。成長が大変早く、小さな庭において自然な樹形で維持するのは難しく、伐採されることが多い。
・大気汚染などの公害や潮風に強く、成長も早いためかつては公園の造成や街路樹、校庭などに頻繁に使われていたが、ヒメマルカツオブシムシの被害が多く、利用される機会が減ってきた。
【アオギリの品種】
・ゴウシュウアオギリ~オーストラリアを原産地とするアオギリの仲間で、赤い花を咲かせる。日本での露地植えは不可能。なお、日本においてアオギリは「一属一種」の木であり、類種は存在しない。
アオギリの基本データ
【分類】アオイ科/アオギリ属
落葉広葉/高木
【漢字】梧桐/梧/青桐
(あおぎり)
【別名】ソウゴ/ヘキゴ
ゴトウ(梧桐)
アオノキ/セイヨウギリ
アオニョロリ/イツサキ
【学名】Firmiana simplex
【英名】Chinese parasol tree
【成長】かなり早い
【移植】簡単
【高さ】10~20m
【用途】街路樹/公園/校庭
【値段】1000円~