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プンゲンストウヒ/ぷんげんすとうひ
Blue spruce
【プンゲンストウヒとは】
・北アメリカ西北部の山腹や水辺に自生する常緑針葉樹。コロラド州(アメリカ)の木に指定されており、別名をコロラドトウヒという。欧米を中心に60以上の品種が作られているが、枝ぶりが端正で銀青色の葉が美しい「ホプシー」はプンゲンストウヒのみならずコニファーの最高峰とされる。
・日本では北関東以北の公園やコニファーガーデンで、モミノキやドイツトウヒと同じようにクリスマスツリーとして使われることが多い。耐寒性が高いため特に北海道では、円山環状通りをはじめとした街路樹としても使われる。
・英名はブルースプルース(Blue Spruce)あるいはコロラドスプルース(Colorado Spruce)というが、スプルースには「トウヒ(木の種類)」のほか、「端正な」という意味がある。
・品種によって枝は斜め上、あるいは水平に伸びる。「プンゲンス」は硬く尖ったという意味であり、チクチクした葉が対になって生じる。葉は長さ1~2センチほどの湾曲した針状で、断面は菱形。葉色は青白~青緑色だが、品種や季節によってバリエーションがある。葉のある枝は褐色~黄褐色で無毛。針葉樹特有の強い香りがある。
・プンゲンストウヒの開花は5~6月で花には雌雄がある。雄花は長さ1~1.5センチほどで紅色に、雌花は長さ2~2.5センチほどで紅紫色になる。花とは言えないような地味な花だが「不運の中の希望」という花言葉もある。花の後には細長い果実(球果)ができ、9~10月頃になると枝から垂れ下がる。
・成長はかなり遅く、一年で10センチほどしか伸びない。接ぎ木で増やすのが一般的だが、見栄えのするプンゲンストウヒは高価になりやすい。
【プンゲンストウヒの育て方のポイント】
・寒さに強いため、北海道をはじめとした北国向けの樹木といえる。夏の暑さ(特に強い西日や熱帯夜)が厳しい南関東以南では育てるのが難しい。また、大気汚染や潮風には弱い。
・養分が多く、日当たりと水はけの良い場所を好むが、半日陰程度なら十分に適応する。夏の日差しが強すぎる場合、日除けをし、水やりをしっかり行う。
・葉の先端は触れると痛いため、玄関横など人の往来がある場所に植えるのはお勧めできない。また、自分で剪定する場合はチクチクして厄介であることを承知しておく必要がある。
・雄大な自然樹形を楽しむのが基本であり、クリスマスツリーらしい円錐形を保つには広い場所に限る。スペースを確保できない一般家庭では鉢植えを検討するのもよい。
・苗木のうちはクニャクニャした樹形になりやすいため、支柱を添えて固定するとよい。成長が遅いとはいえ、植え付け後3~4年が経過し、生育が安定すると枝葉は込み合う。
・刈り込みばさみで剪定するだけでは内部の枝葉が混みあい、強風や積雪による倒木の危険が生じる。ノコギリや木バサミなどを使って枝葉を間引くのがよいが、葉のないところで剪定すると枝や幹の付け根まで枯れるため、こまめに剪定するのが得策。剪定の時期は早春あるいは秋が基本で、真夏や真冬は避ける。
・病害虫の被害はほとんどないが、稀にカイガラムシが発生する。防除には消毒剤を使うのが一般的。
【プンゲンストウヒの品種】
・ホプシー(ホープシー)
クリスマスツリーのような円錐形になり、高さは8~10mほどになる。葉はワックスが乗ったように光沢があり、原種に比べると青白い。
・コースター
枝先が垂れ下がり、ボリューミーな樹形になる。メタリックブルーの葉が美しい。
・グラウカグロボーザ
成長が極めて遅く、樹高が1~1.5mほどにしかならない矮性の品種。枝は分岐が多く、横に伸び、樹形は半球状になる。一般家庭で管理しやすい品種の一つ。
・モヘミー
青白または青緑色の葉が鎌のように湾曲する品種。樹高は5~8mになり、枝先はかなり垂れ下がる。枝は水平に伸びるが、ホプシーに比べると枝の出幅が狭くなるのが特徴。
・他にファットアルバート、モンゴメリー、ファスティギアータ、エンズ、グラウカ、ベイビーブルー、スーパーブルー、ピセアプンゲンスなど多数の品種がある。
【プンゲンストウヒに似ている木】
・エゾマツ
・モミノキ
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プンゲンストウヒの基本データ
【分類】マツ科 トウヒ属
常緑針葉 高木
【漢字】─(ぷんげんすとうひ)
【別名】コロラドトウヒ
アメリカハリモミ
【学名】Picea pungens
【英名】Blue spruce
【成長】遅い
【移植】難しい
【高さ】5~50m
【用途】公園/クリスマスツリー
【値段】3000円~