庭木図鑑 植木ペディア > ナンヨウスギ
ナンヨウスギ/なんようすぎ/南洋杉
Hoop pine/Norfork island pine/etc
【ナンヨウスギとは】
・コウヤマキ、ヒマラヤスギと共に世界三大公園樹(世界三大美樹ともいう)とされるナンヨウスギ科アロウカリア属の針葉樹。広義には南太平洋の各地に自生する同属の樹木全般を、狭義にはその一種であるシマナンヨウスギを示す。
・広義のナンヨウスギにはシマナンヨウスギのほか、ヒロハノナンヨウスギ、ブラジルマツ、チリマツ、クックアロウカリアなど12種がある。いずれも枝葉が規則的に伸びて壮大かつ端正な樹形となるが、関東以北の日本では気候が合わず、樹形は乱れやすい。
・属名アロウカリア(アラウカリア)はチリの先住民が使っていたアラウコという単語に由来する。その意味は「住む場所」あるいはスペインと戦った士族の人名、あるいはナンヨウスギの一種が発見された地名などとされ、はっきりしない。
・ナンヨウスギは雌雄異株(時に同株)で、春になると枝先に長さ15~20センチの穂状の花が咲き、その後、大きな卵形の果実ができる。果実はパイナップルのような卵形だが、品種によっては重量5キロ近くとなり、人間の頭部ほどの大きさになる。
・果実には200を超える種子を含み、開花後1年半~3年を経て成熟すると翼のある種子が熟す。種子は食用となり、粉末にしてスープやパンに利用する。
・ナンヨウスギの葉は光沢のある深緑色。硬い針状で長さは1.5~4センチほど。螺旋状に密生するが、品種や樹齢などによって葉の形状は異なり、老木では短い鎌状に曲がる。
・枝は幹から等間隔で車輪状に多数生じ、それぞれの枝はほぼ水平に伸びる。枝分かれが多く、細い枝は垂れ下がるが、全体としては整った円錐形になりやすい。現地での樹齢は数百年を超え、幹の直径は最大で1.5mほどになる。樹皮は黒褐色で粗く、樹脂を多く含み、樹齢を重ねると鱗状に剥離する。材は緻密で建材や家具材に使われる。
・狭義のナンヨウスギはオーストラリアのクイーンスランド南岸、ニューサウスウェールズ北岸及びニューギニアなど南太平洋の島々に自生するものだが、明治30年頃から日本の暖地でも栽培されている。
【ナンヨウスギの育て方のポイント】
・寒さに弱く、植栽の適地は関東以西の暖地となる。また、樹形が特異で他の樹木と馴染みにくいことや、大きくなりやすいことから植栽の適地であっても一般家庭での庭植えは珍しく、観葉植物的な扱いが多い。
・日当たりが良く、適度に湿った土壌であれば放任気味でも丈夫に育つ。病害虫にもかなり強いが、移植は好まない。
・芽を出す力が強く、剪定にも耐えるが、葉がチクチクするため扱いにくい。
【ナンヨウスギの品種】
・コバノナンヨウスギ
文字どおり葉の細い品種
ブラジルやアルゼンチンを原産とするナンヨウスギの一種で、パラナマツ、フサナンヨウスギなどとも呼ばれる。明治の末期に渡来し、関東地方南部以西の暖地で栽培される。シマナンヨウスギに比べると葉はまばら。
・チリマツ(チリーマツ)
チリやアルゼンチンを原産とする品種。ナンヨウスギ属では最も寒さに強く、ヨーロッパでは屋外で栽培される。葉はクギのような雰囲気で長さは2センチほど。日本には昭和4年に渡来し、樹形の珍しさから庭木として本州以南の暖地に植栽される。別名はヨロイスギ、モンキーパズル、チリパインなど。
【ナンヨウスギに似た木】
ナンヨウスギの基本データ
【分類】ナンヨウスギ科
ナンヨウスギ属
常緑広葉/針葉樹
【学名】Araucaria
cunninghamiiなど
【別名】アロウカリア/アラウカリア
【成長】暖地では早い
【移植】難しい
【高さ】20m~70m(原産地)
【用途】公園
【値段】2000円~