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トガサワラ/とがさわら/栂椹
Japanese douglas fir
【トガサワラとは】
・紀伊半島中南部及び高知県東部の深山(魚梁瀬地方)に点在するマツ科の常緑針葉樹。数百万年前(第三世紀時代)にはその仲間が北半球に広く分布していたが、気候変動等により個体数が激減し、今では環境省が指定する絶滅危惧Ⅱ種にリストアップされる。日本の固有種。
・数が少ないため庭木として使われることはほぼない。柔らかくて加工しやすいため、器具材としては使い勝手が良く、明治時代には鉄道の枕木に使われたという記録があるが、耐久性に乏しく建材として優良とはいえないことも個体数の減少に追い打ちを駆けた。
・材質はホームセンターなどに出回るベイマツ(別名アメリカトガサワラ、オレゴンパイン、ダグラスファー、メリケンマツなど)とほぼ同じであり、学名(Pseudotsuga)は「偽物のツガ」を意味する。
・トガサワラという名前は、「トガ(=ツガ)+サワラ」であり、ツガに似た枝葉や樹皮で、サワラのような赤みを帯びた材を持つことに由来する。材はツガよりも柔らかいがサワラよりは硬く、材木としてはサワラに及ばない。
・葉は長さ2~2.5センチ、幅1~3センチほどの扁平な線形で先端は丸みを帯びる。裏面の気孔が目立ち、遠目からはウラジロモミのように白く見える。ツガにも似るが本種は短い葉と長い葉が交互に生じる特徴を持つ。
・雌雄同株で花期は4~5月。花の後には10月頃にかけて長さ5センチ前後の卵形をしたマツボックリ(球果)ができる。画像は乾燥しきったサンプルだが、熟したマツボックリは黒紫色で白い粉が薄くかかり、所々が尖っている。
・若木の樹皮は赤褐色だが、樹齢を重ねると銀灰色になり画像のように樹皮が鱗状になって剥がれ落ちる性質を持つ。
・樹高は20~30mが普通だが条件の良い場所では最大で40m、直径は1.5mほどになる。幹は根元から頂部までほぼ一定になり、樹形は大きな円錐形に近い。開けた場所では枝が水平に広がって美しい樹形になるが、他の樹木が生い茂るような場所では枝ぶりが整いにくい。
【トガサワラの育て方のポイント】
・自生地は条件の悪い崖地などであり乾燥や日陰にも耐えるが、基本的には日照を好む。
・相当な大木になるため、長期的に付き合うつもりなら広いスペースが必要となる。
【トガサワラの品種】
・タイワントガサワラ
台湾に分布する品種
トガサワラの基本データ
常緑針葉 高木
【漢字】栂椹(とがさわら)
【別名】サワラトガ/マトガ
カワキ/カワキトガ
【学名】Pseudotsuga japonica
【英名】Japanese douglas fir
【成長】早い
【移植】やや難しい
【高さ】20m~40m
【用途】建材/器具材
【値段】─