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タギョウショウ/たぎょうしょう/多行松
Japanese umbrella pine
【タギョウショウとは】
・北海道から九州まで、日本全国の神社、仏閣及び公園などに見られるマツ科の常緑針葉樹。アカマツの園芸品種であり自然界には存在しない。クロマツにアカマツを接いで作られたものだが、それらのように大きくならず、普通は樹高3~4mにとどまる。
・「タギョウ」とは「多行」であり 根元付近から生じる多くの幹を表す。英名のとおり、頂部は傘を広げたような形になる。
・アカマツと同様に赤褐色の樹皮で、葉は二本が一組になっている。花や実(マツボックリ)ができることは稀。個体によってはクロマツのような芽が出ることがあり、これを特にタギョウクロマツと呼ぶ場合もある。
・江戸時代に安行(埼玉県川口市)で作出されたとする説があるものの、真偽ははっきりしない。また、タギョウショウによく似た松にウツクシマツ(詳細は以下)があるが、タギョウショウは天然のウツクシマツを起源とする同一種であるとする説もある。管理人個人としては、樹高がおおむね5m以下で、幹や枝の角度が50度以上であればタギョウショウと見做している。
【タギョウショウの育て方のポイント】
・性質はアカマツとほぼ同じで日当たりを好む。背が低いことと成長が遅いことから管理しやすいが、人工的に作られたものであって樹勢は弱く、短命(50年以内)な個体が多い。また、種を播いてもアカマツになることが多い。
・他の植木と風景が馴染みにくいため、タギョウショウだけを列にして植えたり、単独で広いスペースに植えることが多い。
・手入れは他のマツ類同様であり、素人には難しい。
【タギョウショウの品種】
・ジャノメタギョウショウ
葉に模様が入る品種で、葉を上から見ると蛇の目傘のように見える。
【タギョウショウに似ている木】
・チョウセンタギョウショウ
樹形はタギョウショウと同じだが、幹の分岐点が地際から少し上になっている。
・タギョウクロマツ(多行黒松)
黒松の園芸品種。根元から多数の幹を生じる。
・ウツクシマツ(美松)
樹冠が半球状になる品種で、滋賀県のごく限られた地域に自生しており、大正時代に天然記念物に指定された。タギョウショウよりも幹の開き方が狭く、葉が柔らかい。花や実は通常のアカマツ同様にできる。学名はタギョウショウと同じ。
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タギョウショウの基本データ
【分類】マツ科 マツ属
常緑針葉 低木
【漢字】多行松(たぎょうしょう)
【別名】ウツクシマツ(諸説あり)
【学名】Pinus densiflora
【英名】Japanese umbrella pine
【成長】かなり遅い
【移植】難しい
【高さ】2m~5m
【用途】神社/寺社/公園
【値段】3000円~