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センペルセコイア/せんぺるせこいあ
Coast redwood
【センペルセコイアとは】
・北アメリカ西部の湿った山地に自生するスギ科の常緑高木。世界で最も大きくなる樹種の一つであり、2006年時点ではカリフォルニア州レッドウッド国立公園にあるセンペルセコイア「ハイペリオン」が樹高115mで世界一高い木とされている。日本には明治時代半ば以降に渡来し、公園、寺院、植物園、街路樹、商業施設やタワーマンションのシンボルツリーなどとして使われる。
・本種を単にセコイアあるいはセコイアスギと呼ぶことも多いが、一般にセコイアと呼ばれる樹木には本種以外にも、セコイアデンドロン(セコイアオスギ/ジャイアントセコイア)がある。両者は1億数千年以上前に出現し、有史以前の森林を形成していた40種の高木の生き残りとされ、かつては同じセコイア属に属していたが、現在では別属と見做され、セコイア属の樹木はセンペルセコイアのみとなる。
・セコイアという名前はチェロキー語学者でもあるチェロキー族(アメリカ先住民族)の酋長「セコヤー」にちなむ。
・上記の世界一高い木の樹齢は600~800年だが、樹齢2200年を数える個体もあるという。また、原地における平均的な樹高は80~100mで、歴史上は120mを超す個体もあった。日本では台風や雪があるため30m程度にしかならない。
・センペルセコイアの葉は長さ1~3センチほどの小さな葉が羽根状に集まってできる。別名イチイモドキのとおりイチイに似るが、触れた感じはイチイより柔らかく、メタセコイアより硬い。なお、セコイアデンドロンの葉はスギのような立体的な葉であり、見分けやすい。
・晩秋になると蕾が目立つようになり、3~5月にかけて開花する。雌雄同株であり、花には雄花と雌花があるが、いずれも小さな黄緑色の花で目立たない。花の後にはスギよりやや大きめのマツボックリ(球果)ができ、10月頃に熟す。球果の中には楕円形の種子が入っており、蒔けば増やすこともできるが発芽率は低い。
・樹皮は赤褐色で内部も赤みを帯びるため「レッドウッド」という別名がある。樹皮は樹齢を重ねると縦に剥がれ落ちるが、30センチもの厚みがあることとタンニンが豊富に含まれることで、シロアリを始めとする病害虫や山火事から樹体を守る働きを持つ。
・センペルセコイアの材は真っすぐかつ大口径となるため、建材、器具材、枕木、そして古くはトーテムポールを作るのに使われた。巨木については開発による乱伐で個体数が減ったため厳格に保護されているが、苗木や種子は市場に出回っており、日本でも本種を見掛ける機会が増えている。
・画像のように株元からヒコバエ(木の子供みたいなもの)が出やすく、伐採された後にも容易にヒコバエを生じる。針葉樹としては珍しいが、スギ科のコウヨウザンにも同じような性質がある。
【センペルセコイアの育て方のポイント】
・原産地は暖地であり、耐寒性は劣る。関東地方以西であれば地植えできるが、潮風には弱い。
・日当たりと水はけの良い場所を好むが乾燥は苦手であり、苗木のうちは夏場の管理が難しい。
・自然樹形は円錐形で、下枝は大きく張り出しやすい。植栽には広いスペースが必要となるが剪定には十分に耐えるため、場所に合わせた樹形にすることもできる。
【センペルセコイアに似ている木】
・イチイ
・セコイアオスギ
センペルセコイアの基本データ
【分類】ヒノキ科 セコイア属
常緑針葉 高木
【漢字】─(せんぺるせこいあ)
【別名】セコイアメスギ/セコイアスギ
世界爺雌杉/レッドウッド
アメリカスギ/イチイモドキ
アカスギ/セカイヤ/センペル
【学名】Cryptomeria japonica
【英名】Coast redwood
【成長】かなり早い
【移植】やや難しい
【高さ】10~120m
(日本では最大35mほど)
【用途】シンボルツリー/街路樹/鉢植え
【値段】1000円~