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コメツガ/こめつが/米栂
Northern Japanese Hemlock
【コメツガとは】
・中部地方以北の本州、四国及び九州の高山に見られるマツ科の常緑樹。同属のツガよりも寒さに強く、海抜1500m程度の亜高山帯に生じる。自生地ではコメツガだけで林を形成することがあり、栂平(福島県)や栂池(長野県)などと名付けられて親しまれる。
・米粒のように細かな葉、あるいはツガに比して小さい葉という意味合いでコメツガと命名された。「ツガ」自体の語源には諸説あるが、葉が継ぎ合うように生じることに由来するといった説が知られる。
・コメツガの葉は長さ1~2センチの針状だが、先端はへこんでおり手で触れても痛くはない。表面は光沢のある濃緑色で、裏面には気孔帯と呼ばれる白線2本が並走する。
・開花は5~6月頃で、前年に伸びた枝の先に小さな花が咲く。雌雄同株で雄花には黄色い花粉を生じるが、他のマツ科同様にあまり目立たず、観賞価値は乏しい。
・雌花の後には紫色をした卵形の球果(マツボックリ)ができる。直径2センチ程度でツガよりもやや小さく、季節と共に緑色に変わり、9~10月には褐色に熟す。繁殖は、この実生による。
・樹皮は灰褐色で、縦に裂け目が入りやすい。枝は水平方向に張り出し雄大な樹形となる。漢字標記は北米産の「米ツガ(ベイツガ)=ウエスタンヘムロック」と同じであり混乱しやすいが両者は別物。建材としては圧倒的にベイツガの取扱いが多い。
【コメツガの育て方のポイント】
・平地では稀に公園などに見られ、かつては東京近郊でも植栽できたが、温暖化とともに年々生育が難しくなっており、都会の庭木に進んで用いるような樹木ではない。
・建材、器具材、パルプ材に使われる木であって、造園用にはあまり向かない。造園用としては剪定などの管理がしやい「カナダツガ」が向いている。
・基本的には放任しても樹形が整いやすいが、成長につれて下枝がなくなりやすいため、ある程度の高さで幹を切るとよい。
【ツガとコメツガの違い】
見分け方は以下のとおり。実際に販売されるコメツガの中には、ツガの葉が短小になった個体であるものも多く、素人では区別を付けにくい。
・枝
ツガの枝は無毛だが、コメツガの若い枝(1~2年生)には細かな毛がある。
・葉
ツガは長さ10~20ミリ程度で葉柄に対して直角に生じる。コメツガは4~12ミリ程度で斜めに生じる。
・幹
ツガも樹皮は赤褐色で、コメツガは灰褐色
・冬芽
ツガは先端が尖り、コメツガは丸い。
苗:米栂(こめつが・コメツガ) |
コメツガの基本データ
【分類】マツ科/ツガ属
常緑針葉/高木または小高木
【漢字】米栂(こめつが)
【別名】ヒメツガ/クロツガ
【学名】Tsuga diversifolia
【英名】Northern Japanese Hemlock
【成長】やや遅い
【移植】普通
【高さ】1m~20m(環境によって多様)
【用途】公園/用材/盆栽
【値段】1500円~(盆栽)