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イタリアンサイプレス/いたりあんさいぷれす
Italian cypress
【イタリアンサイプレスとは】
・南ヨーロッパや中近東などの地中海沿岸を原産とする常緑針葉樹。細い円錐形の樹形と青味がかった葉が美しく、ギリシャ・ローマ時代から街路樹、庭園及び墓地に好んで植えられる。地中海岸のヨーロッパ、アメリカのカリフォルニア、アルゼンチンなどでの利用が多い。
・日本へ渡来したのは明治時代の半ば。その独特の樹形をいかして街路樹に活用しようと試みられたが、風雪や煙害に弱くあまり普及していない。しかし、比較的狭い土地でも見栄えのするコニファーとしてマンションの植え込みや個人の庭に使われることがある。
・イタリアンサイプレスの葉はヒノキよりも細かい鱗状かつ立体的であり、枝から十字型に生じるのが大きな特徴。画像のものは放任された大木であり、枝が横に張り出しているが、定期的に剪定すれば細長い樹形を維持できる。
・雌雄同株で3~6月頃になるとヒノキと似たような花を咲かせる。地味な花であり、「正義の人」「哀悼」という花言葉はあるものの、ヒノキと同様に花粉症を引き起こすアレルギー源となり得る。
・秋にできる果実(球果)は直径2~4センチで、ヒノキの仲間では最も大きい。実は熟すと褐色になり、中には最大で20個近くの種子が入っている。種子には翼があり、熟すと飛び散るが、日本での発芽率は低い。
・現地では樹高40m、直径1mを超すような大木になり、レバノンシーダーと共にノアの箱舟を造るのに使われたとされる。耐久性と柔軟性を兼ね備えたその材は加工しやすく、家具、楽器、枕木、建材などに用いられる。また、枝葉から抽出されたオイルはエッセンシャルオイルとしてアロマセラピーやリラクゼーションに使われる。
【イタリアンサイプレスの育て方のポイント】
・地中海沿岸を原産とする樹木であり、寒さには弱い。植栽の適地は関東以西となる。
・肥沃で日当たりと水はけの良い場所を好むが、半日陰程度なら十分に耐える。ただし、日当たりの悪い場所では下枝がなくなり、格好悪くなりやすい。
・生育は早めだが、冬の寒風、夏の乾燥に弱い。このため植え穴には事前に堆肥や腐葉土を漉き込んでおくとよい。また、強風に弱いため植え付けの際には支柱を添えた方がよい。
・枝葉は日本のヒノキ類以上に密生するが、横には広がりにくいため、剪定の必要性は低い。内部の枯れこんだ枝葉を手で摘み取る程度が丁度よい。しかし、他のコニファー類と同様、積雪には弱いため、積雪の予想される地域では枝の数を減らすような剪定をして幹や枝の損傷を防いだ方がよい。
【イタリアンサイプレスの品種】
・グラウカ
背丈が7mほどにしかならない矮性の品種。青みがかった葉色が美しく、原種よりも使い勝手が良いため、コニファーガーデンでしばしば使われる。
・スウェンズゴールド
葉が黄色になる園芸品種
イタリアンサイプレスの基本データ
【分類】ヒノキ科/ホソイトスギ属
常緑針葉/高木
【漢字】─(いたりあんさいぷれす)
【別名】セイヨウイトスギ/セイヨウヒノキ
ホソイトスギ/イタリアイトスギ
グラウカ
【学名】Cupressus sempervirens
【英名】Italian cypress
【成長】やや早い
【移植】根が荒く、やや困難
【高さ】12~45m
【用途】シンボルツリー/街路樹/花材
【値段】3、000円~