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オニシバリ/おにしばり/鬼縛り
Oni shibari(mezereon)
【オニシバリとは】
・福島県以南の本州太平洋側、四国及び九州に分布するジンチョウゲ科の低木。山地の雑木林に自生し、強靭な樹皮で作る縄は鬼さえも縛ることができるとして「鬼縛り」と名付けられた。日本以外の東アジアにも見られ、家畜用の縄にこの樹皮を使う国もある。
・オニシバリの開花は早春(2~4月)で、葉の脇に黄緑色の花を数輪咲かせる。花の多くは葉に隠れており、注意深く観察しなければ見付けにくい。
・花弁はなく、花弁のように見える萼(がく)の先端が深く四つに裂けている。萼は筒状で長さは2センチほど。雌雄異株で花には雄花と雌花があり、雄花では8本ある雄しべが目立つが、雌花の雄しべは小さく、雌しべだけが目立つ。
・雌花の後には直径8ミリほどの楕円形の果実ができる。5~7月に赤く熟すが、有毒であり食用できない。
・葉は細長く、枝から互い違いに生じるが、枝先に密生する。秋に生じた新葉が翌年の夏に落下するという大きな特徴を持ち、夏には落葉していることから、別名を「ナツボウズ(夏坊主)」という。そのひねくれた生態から、花言葉は「変わり者」とされる。
・丈夫な樹皮は山仕事のロープや、コウゾやミツマタと合わせて和紙づくりに使われた。
【オニシバリの育て方のポイント】
・日当たりが悪いと花は咲きにくい。
・成長は遅めで、強度の剪定は苦手とする。
・ジンチョウゲと同様に移植に弱いため、植え付ける場所は慎重に選びたい。特に上述のとおり果実は有毒であり、子供やペットのいる家庭では注意する必要がある。
【オニシバリに似ている木】
・ナニワズ
オニシバリと同じジンチョウゲの仲間。オニシバリは太平洋側に多いが、ナニワズは日本海側の東北地方に自生するため、別名をエゾオニシバリ、エゾナニワズという。樹姿はよく似ており、これも夏に葉を落とすが、オニシバリに比べると葉先が丸い。花は鮮やかな黄色で、香りが良い。
オニシバリの基本データ
【分類】ジンチョウゲ科
ジンチョウゲ属
常緑(落葉)広葉/低木
【漢字】鬼縛り(おにしばり)
【別名】ナツボウズ(夏坊主)
コショウノキ
【学名】Daphne pseudomezereum
【英名】Oni shibari(mezereon)
【成長】やや遅い
【移植】難しい
【高さ】0.5m~1m
【用途】繊維用
【値段】園芸用として流通することは稀