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リンボク/りんぼく/橉木
Blackthorn
【リンボクとは】
・中南部以西の本州、四国、九州及び沖縄に自生するバラ科の常緑高木。温暖な沿海地にある林内や、湿気の多い谷間などに見られる日本の固有種で、庭木として使う例は少ないが、秋に咲く花には春の花のような香りがあり、観賞価値も高い。
・リンボクという名は、似た花が咲く近縁のイヌザクラの中国名「橉木」を音読みしたもの。なお、古生代に栄え、その化石が石炭の原料となったシダ植物にも同名のものがあるが、本種との関連はない。
・サクラの仲間であり、樹皮はサクラに似るが常緑性であり、シラカシやツブラシイに似た葉を持つ。葉は革質で表面に光沢があり、若い枝には短毛がある。
・葉の長さは5~8センチほどで先端が尖り、若木のうちはヒイラギのように葉の縁がギザギザになるため、別名をヒイラギガシという。
・リンボクの開花は9~10月で、その年に伸びた枝葉の脇から5~8センチの花茎を出し、直径5~6ミリの小花を穂状に咲かせる。花は下から順に咲き、直径2ミリほどの丸い花弁が5枚ある。
・本種の花は一般的なサクラのイメージから遠いが、本種以外でもウワミズザクラ、イヌザクラ、シウリザクラ、バクチノキといったサクラの仲間にも似たような花が咲く。
・花の後には長さ7~10ミリほどの楕円形の果実ができ、開花翌年の4~6月に熟す。果実は硬く、水気も少ないため食用にはならない。
・幼木の樹皮は黒褐色で光沢を帯び、皮目と呼ばれるシワが入るが、樹齢を重ねると 紫あるいは紅色を帯びた淡い褐色となり、皮目が目立たなくなる。かつて伊豆地方では、雁皮紙を作る際にリンボクの樹皮を染料として使った。
・材は硬質で拍子木や弓などの器具あるいは薪炭に使う。樹皮がサクラに似て材が硬いため、別名をカタザクラという。青酸を含む葉と根は薬用となる。
【リンボクの育て方のポイント】
・湿気と養分のある土壌を好む。耐寒性はやや乏しく、植栽の適地は関東地方以西となる。
・性質は近縁のバクチノキに似る。半日陰でも生育できるが、基本的には日照を好み、日陰では花や実が少ない。
・病害虫の被害は少ないが、風通しの悪い場所では、カイガラムシ及びスス病の被害にあう。
・庭木としての流通は少ないが、実生で増やすことができる。
【リンボクの品種】
・コバノリンボク
名前のとおり葉が長さ3~6センチ、幅1.2~1.8センチ程度になる変種。
リンボクの基本データ
【分類】バラ科/バクチノキ属
常緑広葉/小高木~高木
【漢字】橉木(りんぼく)
【別名】ヒイラギガシ
カタザクラ
【学名】Laurocerasus spinulosa
【英名】Blackthorn
【成長】やや早い
【移植】普通
【高さ】5~10m
【用途】公園
【値段】─