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ユーカリノキ/ゆーかりのき/有加利
Eucalyptus/Blue gum
【ユーカリノキとは】
・コアラの主食としてお馴染みのユーカリノキはオーストラリアのタスマニアを原産とするフトモモ科の常緑広葉樹。世界最大級の高木になる樹種であり、南半球では高さ100m近くまで育って巨木林を作る。
・日本へ渡来したのは明治初期で、関東地方南部以西に植栽される。元来は建築用に使われたが、白い幹や遠くからでも目を惹く青白い葉に観賞価値があること、枝葉が茂るため木陰を作りやすい木として、公園や並木に用いられるようになった。日本では高さ30m程度にとどまる。
・長さ20センチ近くになる細長い葉は分厚くて硬い。毒があるためコアラ以外の動物は食べない。葉には世界最古のハーブとして知られる同属のギンバイカと同じような樟脳に似た香りがあり、ここから採取されるユーカリ油は医薬品、リキュールや石鹸の香料などに使われる。
・オーストラリアでは「解熱の木」とされる。これは、オーストラリア大陸の先住民であるアボリジニがユーカリの葉を解熱剤として使用したこと、あるいはユーカリの木を植えると周囲の湿気が吸収され、マラリアの媒介となる蚊の発生を抑制することに由来する。
・6月から7月かけて葉の付け根あたりに咲く白い花は、放射状に広がる多数の雄しべが美しい。花の直径は3.5センチほどあり小さくはないが、たいていは木の高い位置に咲くため、観察は難しい。蕾の段階では帽子状の萼片と花弁に覆われてフタがされたような状態であり、学名Eucalyptusは「良い蓋」を意味する。花の後には直径1.5~2.5センチの乾いた果実ができる。
・老木になると画像のように樹皮が紐状に剥離し、白い幹が顔を出す。この幹の色が本種を見分ける大きな特徴になる。材は建築、造船、器具材、パルプなどに使われる。
・ユーカリノキには600ほどの品種があり、日本では「グローブルスユーカリ」をもってユーカリノキと呼ぶことが多い。他にヤナギバユーカリ、レモン(バ)ユーカリ、ツキヌキユーカリ、ピミナリスユーカリ、コマルバユーカリ、グニーユーカリなどがある。
【ユーカリノキの育て方のポイント】
・栄養分のある日向を好み、乾燥地にもよく育つ。寒さにも比較的強い。
・葉に毒性があるため病害虫に強いものの、まれにカミキリムシの被害に遭う。
・成長が早くて枝分かれが多い。本来は雄大な自然樹形を鑑賞する樹木であり、スペースの限られた一般家庭で育てるのはお勧めできない。剪定に強いため高さを抑えて管理することは可能だが、枝の出方に癖があって、他の庭木の要領で剪定しようとするのは難しい。また、強風に弱く、枝や幹が折れることも多い。下の商品のような苗をプランターで育てるのが現実的か。
ユーカリノキの基本データ
【分類】フトモモ科/ユーカリノキ属
常緑広葉/高木
【漢字】有加利(ゆーかり)
【別名】ユーカリ/ユーカリジュ
【学名】Eucalyptus globulus
【英名】Eucalyptus/Blue gum
【成長】かなり早い
【移植】普通
【高さ】20m~100m
【用途】街路樹/緑地/公園樹
【値段】500円~