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ヤマグルマ/やまぐるま/山車
Yama-guruma
【ヤマグルマとは】
・山形県以南の本州~沖縄に分布するヤマグルマ科の常緑樹。花や枝葉が車輪状に生えることからヤマグルマと名付けられた。寒冷地の山林内、斜面、岩場に自生するが、屋久杉と共存、時に着床する屋久島のヤマグルマが特に有名。
・ヤマグルマ属の樹木は他になく、シーボルトは「日本植物誌」において本種を新種として発表した。山野や庭園で頻繁に目にするような樹木ではないが、日本以外でも韓国の済州島や台湾などの東アジアに自生が見られる。
・ヤマグルマの葉は卵形で先端は尖り、縁には波状のギザギザがある。長さ5~15センチほどだが、春に出た葉が最も大きく、次第に小さな葉に代わっていく。新芽の頃、花が咲く頃、それぞれに奇抜な色合いに変化するため、一見地味な木だが、見どころは多い。
・ヤマグルマの開花は5~6月。枝先に画像のような黄緑色の花(雌雄同株)を咲かせる。花には花弁も萼もなく、それほど美しいものではないが、普段は地味な存在であるがため、花の時期にはかえって人目を惹く。花の中央には5~10本の雄しべがあり、その周囲を多数の雄しべが囲む。
・花の後には袋状の果実が集まった集合果ができ、10月頃に熟すと自然に裂けて、種子を落とす。種子は長さ5ミリほどの楕円形で、両端には長い突起がある。
・樹皮からトリモチを作ったことから、トリモチノキとも呼ばれる。古くから庭木として植栽されるモチノキからもヤマグルマの代用としてトリモチを作るがその色味は異なっており、ヤマグルマはアカモチ、モチノキはシロモチと呼ばれた。ヤマグルマの樹皮は特徴のない灰褐色で、経年とともにコブが出てくる。
・平凡な外観とは裏腹に白亜紀には既に存在していたという、生きた化石のような木であり、広葉樹の中で唯一、道管がないことで知られる。針葉樹のように根から吸収した水分は仮道管で葉へ運ばれる仕組みであり、この構造のためヤマグルマは寒冷地に適応し、良質な材として加工品に用いられる。
【ヤマグルマの育て方のポイント】
・寒冷地~暖地の岩場に自生するが、南にいくほど大木となり、中には高さ20mに達するものもある。耐寒性はあるが植栽は山形県あたりが北限とされる。
・成長スピードが遅く、管理に手間がかからない。しかし、高さと幅がほぼ同じように成長するという特徴を持つため、見映えをよくするには、ある程度のスペースが必要。
【ヤマグルマに似ている木、見分け方】
アワブキ科のヤマビワと葉が似ているが、ヤマグルマの葉はツルツルで人工的な印象さえするのに対し、ヤマビワの葉はくすんだ感じがする。また、ヤマビワはヤマグルマと同じような輪生状に見えるが、よく見ると枝先にまとまっているに過ぎない。
ヤマグルマの基本データ
【分類】ヤマグルマ科/ヤマグルマ属
常緑広葉/高木
【漢字】山車(やまぐるま)
【別名】トリモチノキ/シメコロシノキ
アカモチ
【学名】Trochodendron aralioides
【英名】Yama-guruma
【成長】遅い
【移植】簡単
【高さ】15~20m
【用途】シンボルツリー/公園樹
【値段】5000円~