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モクレイシ/もくれいし/木茘枝
Mokureishi tree
【モクレイシとは】
・ニシキギ科モクレイシ属に属する大形の常緑低木で、暖地の海岸近くにある林や低山に見られる。成長が遅く、樹形が自然に整いやすいことや、花のない時季に鮮やかな果実ができるため、稀に庭木として使われる。日本における天然の分布は特異であり、南房総、伊豆、相模、南九州、五島列島、沖縄の各地に点在する。
・モクレイシという名前はウリ科のツルレイシ(ニガウリ=ゴーヤ)に対応するもので、ツルレイシに似た実がなる木という意味。日本のモクレイシ属は本種のみだが、熱帯アジアの山地に25種が知られる。漢字表記の「茘枝」はライチのことだが、ライチはムクロジ科であり直接の関連はない。
・モクレイシの葉は厚手の革質でマサキ、モチノキ、モッコクに似る。長さ3~9センチ、幅2~5センチの楕円形で枝から対になって生じ、縁にギザギザはなく、葉先は丸みを帯びる。
・表面は濃緑色で縁が裏側にやや反り返り、裏面は淡い緑色になる。枝は無毛で断面は丸く、樹齢を重ねると赤褐色に近い灰色になる。
・雌雄異株で、3~4月の開花期には雌雄ぞれぞれの花を咲かせる。花の直径は5ミリほどと小さい上に黄緑色、そして葉の付け根に咲くためほとんど目立たない。
・葉の脇から伸びた柄の先に数輪がまとまって咲き、5枚ある花弁は円形で、雄しべが5個、雌しべが一つずつある。雄花では雌しべが小さく、雌花では雄しべが小さい。雄花や葉にはプロパンガスのような特有の匂いがある。
・花の後には直径1.5~2ミリ大の俵型の果実ができる。果皮は革質の緑で、10月頃に熟すと基部が自然に割れる。普通は種子が落下するが、モクレイシでは果皮が落下し、枝に紅色の種子一粒が残る。実が熟すまでに一年近くかかるため、春先には花と実を同時に見ることもできる。
【モクレイシの育て方のポイント】
・暖地性の木であり、植栽の適地は関東地方以西であるが、霜が降りる場所では、冬季に葉が黄変あるいは落葉することもある。
・湿気のある場所を好み、乾燥にはやや弱い。
・成長が遅く、芽を出す力も弱いため、剪定の必要はほとんどない。苗木の入手は難しいが、手間のかからない庭木として活用できる。
【モクレイシに似た木】
・オガサワラモクレイシ
小笠原諸島に分布するマチン科の常緑樹。分類上の関連はないが、似た雰囲気の葉を持つ。
モクレイシの基本データ
【分類】ニシキギ科/モクレイシ属
常緑広葉/小高木
【漢字】木茘枝(もくれいし)
【別名】─
【学名】Microtropis japonica
【英名】Mokureishi tree
【成長】遅い
【移植】簡単
【高さ】1~2m
【用途】シンボルツリー
【値段】─(流通なし)