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ミヤマシキミ/みやましきみ/深山樒
Japanese skimmia
【ミヤマシキミとは】
・関東地方以西の本州~九州の山地に分布するミカン科の常緑樹。マツブサ科のシキミと似た葉を持ち、同じような環境に育つためミヤマシキミと名付けられた。
・秋にできる果実はマンリョウなどと同様に、花の少ない時季の庭園に彩を添えることから、主に暖地の庭に用いられ、地方によっては仏花や正月の飾り花とする。
・ミヤマシキミの葉は長さ10センチほどで、枝から互い違いに生じる。光沢のある革質で縁にはギザギザがなく、ミカン科に特有の透明な「油点」が点在し、日に透かすと細かな点が見える。また、葉をちぎるとミカンのような香りがあるのも本種の特徴。
・ミヤマシキミの開花は4~5月で、直径1センチほどの小さな白い四弁花が円錐状に集まって枝先に咲く。雌雄異株で、雄株に咲く雄花は雌しべがなく、4本の雄しべがある。雌株に咲く雌花の雄しべは退化しており、柱頭(雌しべ)は先端が平たい。
・花には香りがあるが、雄花の方がよく匂い、朝よりも夕方の方が香りが強い。
・花の後にできる果実は直径1センチ弱の球形。かつて本種をマンリョウと称して売っていたこともあるが、果実がより大きいため「オクリョウ(億両)」という呼び名が定着しつつある。12~2月頃に赤く熟すが、シキミと同じように毒性があって食用にならない。
・ミヤマシキミ属に属する樹木は日本のほか、中国、フィリピン、ネパール等に分布し、その種類は4~10とされる。また、本種のようにお金にちなんだ名前の庭木にはマンリョウのほか、センリョウ(千両)、ヒャクリョウ(カラタチバナ)、ジュウリョウ(ヤブコウジ)、イチリョウ(アリドオシ)がある。
【ミヤマシキミの育て方のポイント】
・寒さにやや弱く、植栽の適地は東北南部以南となる。
・湿気と養分の多い場所を好む。日陰に耐えるため、他の樹木の陰になるような場所にも植えることができる。半日陰程度が丁度良い。
・剪定を嫌うが成長が遅く、それほど手間はかからない。実生、挿し木、株分けで増やすことができる。
・果実がなるのは雌株だが、稀に雄株にも実がなることがある。
・ミヤマシキミの葉や果実には有毒成分であるアルカロイドのシキミアニンを含む。、誤食すると痙攣、血圧降下、心筋麻痺を引き起こすため、植える場所には十分に注意する必要がある。
【ミヤマシキミの品種】
・リュウキュウミヤマシキミ(琉球深山櫁)
沖縄に分布する品種で、葉のみならず木全体が大きい。
・ウチダシミヤマシキミ
葉脈が葉の裏側に打ち出されたように隆起する品種。「内田氏」ではなく、「打ち出し」である。
・ほかに園芸品種として、ルベラ(蕾が紅い)、ナイマンズ(実が大きい)、フルクツアルボ(実が白い)などがある。
【ミヤマシキミに似た植物】
・ツルシキミ(ツルミヤマシキミ)
日本海側の山地に多い品種で、地面を這うように蔓を伸ばして育つ。基本的な性質はミヤマシキミと同様であり、果実は有毒。
【ミヤマシキミとシキミの見分け方】
・ミヤマシキミは、山奥に生える、葉がシキミに似た木という意味合いで名付けられたものだが、実際はシキミよりも低い山に多く、葉はより大きい。葉の質感は観葉植物のカポックなどに近く、シキミとは全く異なる。なお、シキミはシキミ科であり根本的に両者は異なる。
ミヤマシキミの基本データ
【分類】ミカン科/ミヤマシキミ属
常緑広葉/低木
【漢字】表記:深山樒(みやましきみ)
【別名】オクリョウ(億両)
ミタチバナ(実橘)
【学名】Skimmia japonica
【英名】Japanese skimmia
【成長】遅い
【移植】簡単
【高さ】0.5~1.5m
【用途】下草/和風庭園
【値段】1200円~