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ナワシログミ/なわしろぐみ/苗代茱萸
Thorny elaeagnus
【ナワシログミとは】
・中部地方及び伊豆半島以西の本州、四国、九州に分布するグミ科の常緑低木。海岸や沿海地に自生するグミの一種で、苗代を作る時期(5~6月)に果実が熟すことからナワシログミという。
・学名はElaeagnus pungens で、セイヨウニンジンボクに似た葉を持ち、オリーブに似た実がなるという意味だが、それぞれあまり似ていない。
・ナワシログミの葉は細長い楕円形で長さ5~10センチほど。革質で縁が波打つようになるのが特徴。表面は濃い緑色で光沢があるが、裏面は独特の銀白色。風にあおられるとよく目立ち、遠目でも識別できる。葉には多少の個体差があり、葉先が尖るもの、尖らないものがある。
・常緑で剪定に耐え、成長の強い枝にはトゲがあることから農家などでは防犯を兼ねた垣根に使われることが多い。また、盆栽の世界では「カングミ(寒茱萸)」と称し、古木を愛でることもある。
・ナワシログミの開花は秋(10~11月)。葉の脇に淡い黄褐色の花が数輪ずつ咲く。あまり目立たないものの、強い芳香があり、開花期はその香りが庭じゅうを覆うほどになる。花に花弁はなく長さ6ミリほどの「萼筒」には四つ角があり、銀と褐色の毛を生じる。
・花の後には果実(偽果)がなり、5~6月に赤く熟せば食用できる。アキグミ、ナツグミ、マルバグミよりは渋みが少ないものの美味とは言いがたい。長さは15ミリほど。
・若い木の幹には小さなボツボツ(皮目)がある程度だが、樹齢を重ねると画像のとおり、樹皮が縦方向に剥離し、皮目も目立つようになる。ナワシログミの材は緻密で手触りがよく、衝撃を吸収しやすいため、玄能やノミなど道具の柄に使われる。
【ナワシログミの育て方のポイント】
・根に根粒菌が共生し、空気中の窒素を養分として取り込んでくれるため土質を選ばず、乾燥地でも湿地でも耐える。また、病害虫もほとんど発生しないため。初心者でも育てやすい。
・日向を好む「陽樹」であり、日陰では生育が悪い。
・四方八方に枝が広がり、形が乱れやすい。また、刈り込んでもすぐに新芽が出るなど多少管理に手間がかかる。
・自生地は温暖な地域であり寒さに弱いため、寒冷地には不向き。
【ナワシログミの品種】
・フイリナワシログミ
葉に模様が入る品種で、葉の色や模様によって「オーレア」、「ライムライト」、「マキュラータ」、「ギルドエッジ」など様々な品種がある。
ナワシログミの基本データ
【分類】グミ科/グミ属
常緑広葉/低木
【漢字】苗代茱萸(なわしろぐみ)
【別名】トキワグミ/タワラグミ
ハルグミ/カングミ(寒茱萸)
【学名】Elaeagnus pungens
【英名】Thorny elaeagnus
【成長】早い
【移植】やや難しい
【高さ】1m~3m
【用途】公園/垣根/盆栽
【値段】300円~