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ナツミカン/なつみかん/夏蜜柑
Japanese summer orange
【ナツミカンとは】
・日本で栽培されるミカン科ミカン属の常緑樹。正式名称はナツダイダイで、開花翌年の夏に食べ頃となるダイダイを意味し、ダイダイ(代々)は新しい果実と古い果実が一緒にぶら下がることに由来する。
・ナツミカンは来歴がはっきりしている珍しい木の一つであり、江戸時代の中頃、青海島(山口県長門市仙崎)にある大日比海岸に漂着した果実の種子を島の童女、西本チョウさんが蒔いて育てたのが始まりとされる。樹齢250年を超えるそのナツミカンの原木は、昭和2年に天然記念物に指定され、同家に現存する。
・ではその果実はどこから流れてきたのか、というのが気になるところだが、詳細は不明。おおまかには東南アジアなどを原産とするブンタン系統とされるが、ナツミカン自体は日本原産としている。
・ナツミカンは萩の武士が長州藩の藩主に献上して好評を得たことをきっかけとして山口県を中心に盛んに栽培されるようになり、山口県では県の花に指定している。
・ナツミカンの開花は5~6月。枝先近くの葉の付け根に直径3センチほどの白い五弁花が咲き、栽培地では初夏の到来を告げる象徴となる。花には雌しべ1つと雄しべ約30本があり、他のミカン類同様の芳香がある。
・葉は長さ10センチ、幅5センチ程度の楕円形で、先端が尖り、半分よりやや下辺りの幅が最も広くなる。意外だが一般的なミカン(温州ミカン)よりも葉は小さい。葉の柄には小さな翼のようなものがある。
・果実が色付き始めるのは開花した年の晩秋だが、その時期は酸味が強過ぎるため生食に向かず、調味料に使われる。生食の旬は酸味が弱まる開花翌年の4~6月頃のこと。
・果実は直径12センチ、重さ300~500gで分厚い果皮に覆われる。果皮の表面は凹凸があってザラザラし、底面は広い範囲で深く窪んで不規則な溝があるのが特徴。内部には11~13個の袋があり、そこに詰まった果肉を食用する。
・ナツミカンは食べ頃になっても酸味が強すぎるため、甘夏の登場やグレープフルーツの自由化を機に需要が減少している。生食以外ではジュース、ジャム、食酢に使われ、砂糖を加えて煮込んだピールや丸漬も知られる。
【ナツミカンの育て方のポイント】
・瀬戸内海に面した温暖な地が最適だが、耐寒性があり、関東南部以南であれば植栽できる。寒い地方では熟す前に果実が落下したり、酸味が強くなりすぎたりするが、年末年始に収穫して初夏まで貯蔵する方法もある。
・丈夫な性質を持ち、放任しても育つほどだが、枝葉が密生して鬱蒼としやすいため、適宜剪定して日当たりや通風を良くするのが望ましい。病害虫の被害は少ない。
【ナツミカンに似ている木】
・アマナツ(川野系ナツダイダイ)
大分県の果樹園で発見されたナツミカンの枝変わり品種。ナツミカンよりも甘くて食べやすい。1950年に品種登録され、その後、シンアマナツ、ベニアマナツなどが作出された。
・ヒュウガナツミカン、イヨカン、ナルトミカン、ハッサクなどもナツミカンの仲間に当たる。ネオナツミカンという物もあったが、これは果実が小粒のうちにヒ酸鉛をかけて酸味を抜いたものであり、正式な品種ではない。
・その他、ミカンの栽培品種にはウンシュウミカン、キシュウミカン、ハッサク、ブンタンなど多数ある。
ナツミカンの基本データ
【分類】ミカン科/ミカン属
常緑広葉/小高木
【漢字】夏蜜柑(なつみかん)
【別名】ナツダイダイ/ナツカン
ナツシロ(夏代)
【学名】Citrus natsudaidai
【英名】Japanese summer orange
【成長】やや早い
【移植】簡単
【高さ】3m~6m
【用途】果樹
【値段】1,200円~