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ナギイカダ/なぎいかだ/梛筏
Butcher's-broom
【ナギイカダとは】
・地中海及び黒海沿岸の南ヨーロッパ、南アフリカを原産とするキジカクシ科の常緑低木(あるいは単子葉植物)。茎や根は多肉質で、そのエキスはナギイカダエキスとして健康食品に利用され、耳鳴りの改善等に効果があるとされる。日本へ渡来したのは明治時代の初期。
・「チクチクの葉っぱ」に見えるものは驚くべきことに「葉」ではなく枝が変化したもの。「葉状枝(ようじょうし)」あるいは「仮葉枝(かりようし)」と呼ばれるこの器官は、茎と葉の両方の性質を持つ。本当の葉はこの付け根にあるが小さな鱗片状で、見付けにくい。
・葉状枝は長さ15~35ミリの菱形に近い楕円形で先端が鋭く尖る。チクチクの葉状枝を利用して動物の侵入防止柵としたり、日陰に強い性質を利用して日陰の植え込みに使われることが多い。
・ナギイカダの開花は3~5月。葉状枝の中央にある脈の上に、直径5ミリほどの花が咲く。6枚ある花弁のうち内側の3枚は、外側のものより小さくて細い。
・雌雄異株で10月には赤い果実ができる。直径1センチほどの球形で、花に比べればはるかに観察しやすい。ナギイカダは狂い咲きが多く、花と果実を同時につけるのも珍しくない。
・葉状枝がナギの葉に似ていること、花や実の付き方がハナイカダに似ていることから、ナギイカダと名付けられた。ちなみにハナイカダの実や花は葉に直接付いているが、ナギイカダの花や実は葉状枝に付着していない。
・ヨーロッパにある肉屋ではこの植物を箒に使っていたといい、ブッチャーズブルーム(肉屋の箒)という英名がある。
【ナギイカダの育て方のポイント】
・ほかに例がないほど日陰に強く、縁側の下など極端に暗い場所でも生育できるが、半日陰が最適。
・湿気の多い場所を好むが、土質は選ばない。
・大きくならず、株で増える。
・成長が緩やかであり、さほど剪定せずに管理できるものの、内部に詰まった枯葉などを取り除くのは厄介である。
【ナギイカダに似ている木】
・ヒイラギ
ナギイカダの基本データ
【分類】キジカクシ科(諸説あり)
ナギイカダ属
常緑広葉
単子葉植物あるいは小低木
【漢字】梛筏(なぎいかだ)
【別名】ブッチャーズブルーム
【学名】Ruscus aculeatus L.
【英名】butcher's-broom
【成長】やや遅い
【移植】簡単
【高さ】0.3m~0.9m
【用途】下草/日陰/鉢植え
【値段】500円~