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トウネズミモチ/とうねずみもち/女貞
Glossy privet
【トウネズミモチとは】
・中国中部及び西部を原産とするモクセイ科の常緑樹。関東地方以西に分布する在来のネズミモチと区別するため、中国を意味する「唐(とう)」を冠してトウネズミモチと呼ばれる。
・トウネズミモチはネズミモチより葉や果実が大きく、樹高もより高くなりやすい。トウネズミモチが日本へ渡来したのは明治初期だが、実生や挿し木によって容易に増えるため、現在はネズミモチよりも目にする機会が多い。
・都市部の劣悪な環境(排気ガス等)に耐えることから、戦後の高度成長期には手軽に緑化できる便利な樹木として、公園や高速道路などに多用された。しかしあまりに繁殖力が高いため、現在では要注意外来生物リスト(環境省)に掲載されている。
・葉は卵状の長楕円形で長さは5~10センチほど。表面は濃緑色で光沢があり、裏面は淡い緑色。縁にギザギザはなく、ネズミモチに比べると先端が細く伸びる。
・近年はトリカラーや斑入りのトウネズミモチなど、カラフルな色合いの品種が登場し、いわゆるカラーリーフとして楽しまれるようになった。
・トウネズミモチの開花は初夏(6月)で、その年に伸びた枝の先に、白い小さな花が房状に集まって咲く。小花は直径8ミリほどで、2本ある雄しべと雌しべは花冠から突き出す。
・花序(花の集り)はネズミモチよりも大きく、長さは20センチほど。葉の間から突き出すように咲く。環境によっては秋季にも開花する。
・「ネズミモチ」という名は、秋になる果実がネズミの糞に、葉がモチノキに似ていることからきている。いかにも役に立たなそうな名前だが、漢方では干した果実を「女貞子」と呼び、強壮に用いる。
・でき始めの果実は緑色だが、10月頃から黒紫色に熟し、表面は粉を吹いたように白くなる。トウネズミモチの果実はネズミモチよりも大きく、丸みを帯びる。
・果実にこれといった味はないが、ムクドリ、ヒヨドリ、ツグミ、メジロ、シロハラ、アカハラなどの野鳥がこれを採食し、種子を糞と共に拡散する。
・樹皮は灰褐色で皮目と呼ばれる粒々が目立つ。表面に凹凸はなく滑らか。樹齢を重ねると縦に溝ができる。
【トウネズミモチの育て方のポイント】
・大気汚染や塩害に耐え、日陰にも強い。また、土壌も選ばずに育ち、踏み固められ乾燥地でも育つ。
・丈夫な性質を持ち、病害虫の被害は少ないが、稀にスス病にかかることがある。
・手をかけて育てるような木ではなく、放置しても元気に育つ。剪定によって管理することは可能だが、成長が早く、やがては大木になる。
・花や実を楽しむような木ではなく、早期かつ安価に緑化する際に使われる木であり、家庭向きではない。
【トウネズミモチの品種】
・葉にカラフルな斑模様の入るトリカラーという品種が、園芸用に出回っている。
【ネズミモチとトウネズミモチの見分け方】
・ネズミモチ(日本産)との見分け方
葉の形は似るが、大きさには歴然とした違いがある。また、トウネズミモチの葉は陽にかざすと葉脈が透けて見えるのが特徴。
・トウネズミモチの果実は、ネズミモチよりも丸い。
・トウネズズミモチの方が1ヶ月以上、開花が遅い。
トウネズミモチの基本データ
【分類】モクセイ科/イボタノキ属
常緑広葉/中高木
【漢字】女貞(とうねずみもち)
【別名】トウネズ
リュウキュウネズミモチ
【学名】Ligustrum lucidum
【英名】Glossy privet
【成長】かなり早い
【移植】簡単
【高さ】5m~15m
【用途】垣根/公園/工場
【値段】600円~