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チャノキ/ちゃのき/茶の木
Tea plant
【チャノキとは】
・中国西南部及びインド~ベトナムを原産とするツバキの仲間。日本には奈良~平安時代に中国から薬用として渡来し、鎌倉時代の禅僧(特に臨済宗の栄西)によって新芽を摘んで日本茶にする喫茶の文化が普及した。
・いかにも日本的な花木だが、茶という名称は漢名「茶」の音読みに由来し、中国では5世紀頃から喫茶の習慣があった。チャノキの葉にはカフェイン、カテキン、タンニンなどの成分が含まれており、飲用すれば中枢神経が興奮して覚醒し、利尿や解毒の作用もある。
・薄暗い山林の中に生えるチャノキもあるが、元来日本に自生はなく、茶園から広がって野生化したものと考えられている。こうしたチャノキを「山茶」と呼ぶこともある。街中では生垣として使う例もあるがチャドクガという不快害虫による被害が問題になる。
・チャノキの葉は薄い革質。縁には波状のギザギザがあり、枝から互い違いに生じる。葉の先端は鈍く尖って葉脈はへこみ、基部はクサビ形になるのが特徴。古来、茶葉を摘むのは立春から数えて八十八日目の夜である「八十八夜」が吉とされ、この日に摘んだ茶葉は長寿の薬とされた。
・チャノキは、葉や樹高が小さい緑茶用のシネンシスと、葉や樹高が大きい紅茶用のアッサムに大別されるが、緑茶用のチャノキの葉でも製法を変えれば紅茶やウーロン茶になる。
・新緑の美しさはもちろん、主張しすぎない控えめな花が日本人好みとされ、花を観賞するための園芸品種も多い。チャノキの開花は10~11月で、直径2~3センチ程度の白い花が枝先の葉の脇にひっそりと咲いて微かな芳香を放つ。
・花はツバキやサザンカを小さくしたような感じだが、それらにはない長い花柄があるため、1~3輪ずつ垂れ下がって咲く。
・花の中央には先端が三つに裂ける花柱(雌しべ)があり、その周囲を多数の黄色い雄しべが囲む。5~7枚ある花弁は先端がくぼみ、ほぼ円形に並ぶ。
・11月ごろに熟する暗褐色の果実はツバキやサザンカに似るが、やや小さく、形も三角形に近い。季節が進むにつれて果皮は三つに裂け、茶色い種子が顔を出す。種子は球形で直径は1~1.5センチほど。
【チャノキの育て方のポイント】
・基本的には暖地性で、本州から沖縄までが植栽の適地となる。
・日向の肥沃な土を好む。
・「茶摘み」からも分かるように、芽を出す力が強く、刈り込みによく耐える。自然樹形をいかす手もあるが、放任すれば4m程度にもなる上、自然樹形はゴチャゴチャしがちであるため、多くの場合、「かまぼこ型」に整形される。
【チャノキの品種】
・中国産で淡い紅色の花を咲かせるベニバナチャ、コウテンチャ、斑入りチャノキなどが知られる。サザンカやツバキとの交雑種も多い。
・日本茶にはヤブキタ、ヤマトミドリ、アサツユ、ハツミドリなど数十種類のチャが使われる。用途(玉露用、煎茶用)は品種によって決まっており、最も多く栽培されるヤブキタが玉露などの上質茶になる。主な茶の産地は静岡、宇治、狭山など。
チャノキの基本データ
【分類】ツバキ科/ツバキ属
常緑広葉/低木
【漢字】茶の木(ちゃのき)
【別名】チャ/目覚草(めざましぐさ)
【学名】Camellia sinensis
【英名】Tea plant
【成長】やや早い
【移植】難しい
【高さ】1m~4m
【用途】製茶用/垣根/盆栽
【値段】1500円~