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タニワタリノキ/たにわたりのき/谷渡の木
Chinese buttonbush
【タニワタリノキとは】
・日本(九州南部~沖縄)、中国、ベトナム、インドネシアなどに分布するアカネ科の常緑樹。谷間の湿地などに自生し、初夏に咲く独特な花を観賞するため、庭木や鉢植えとしても流通する。
・葉は長さ6~10センチの細長い楕円形で、枝から対になって生じる。先端は尖るが縁にギザギザはなく、両面とも無毛。葉柄は短く、4~10ミリほど。若い枝は赤みを帯びた緑色で細かな毛があるが、古くなると灰黒色になって縦筋が入る。
・タニワタリノキの開花は6~7月。枝先近くの葉の脇から伸びた球形の花序(花の集り)に、淡い黄色の小花が密生する。
・一つ一つの小花は長さ2センチ弱の筒状で、細長く飛び出すのは雌しべ(花柱)。5本ある雄しべは花筒の口部にとどまり、シベの基盤となる花托(花床)には剛毛と棍棒状の小苞がある。
・花の後にはクサビ形の乾いた実ができ、10~12月に熟すと自然に裂け、翼のある種子が風によって拡散される。種子は直径1ミリほどの楕円形で毒性がある。
【タニワタリノキの育て方のポイント】
・原産は暖帯~熱帯で、耐寒性はやや乏しい。関東以北では冬季に落葉する半落葉性となる。基本的には丈夫な性質を持ち、土質はあまり選ばない。
・日向を好むが乾燥に弱いため、植穴には腐葉土や堆肥をすき込んで保湿性を高めた方がよい。
【タニワタリノキに似た木】
・アメリカヤマタマガサ(セファランサス)
園芸用にタニワタリノキとして流通する近縁種で、「人工衛星の木」「ムーンライトファンタジー」などと命名されて販売される。タニワタリノキよりも耐寒性が高いため、北海道を含めた日本各地に地植えできる。
・シマタニワタリノキ
済州島と中国に分布する品種。タニワタリノキよりも全体に小さく、開花期はやや早い。花色は淡いピンクあるいは白色になる。
・ヘツカニガキ
九州南部、四国南部、中国本土と台湾に分布するタニワタリ属の落葉小高木。枝先に多数同じような花を咲かせるが、葉は大きな卵形で葉柄はタニワタリノキよりも長い。ヘツカは「辺塚」で、発見地の鹿児島県辺塚に由来する。
・名前が似たタニワタリ(みつながしわ)は神事に使われるシダの仲間であり、本種とは関係がない。
タニワタリノキの基本データ
【分類】アカネ科/タニワタリノキ属
常緑広葉/低木
【学名】Adina pilulifera
【別名】サワワタリ/人工衛星の木
ボタンブッシュ/タマガサノキ
【成長】早い
【移植】簡単
【高さ】5m~6m
【用途】庭木/切花
【値段】2,500円~