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シャリンバイ/しゃりんばい/車輪梅
Indian hawthorn
【シャリンバイとは】
・東北地方南部以西の本州、四国、九州及び沖縄に分布するバラ科の常緑樹。自生は暖地の海岸近くに多く、日本以外でも東南アジア~東アジアにかけて広い範囲に分布する。潮風や大気汚染に強い性質を持つため、街路樹や公園樹として利用されることも多い。
・花がウメに似ること、枝葉が車輪状に生じることからシャリンバイ(車輪梅)と命名された。樹皮や材にはタンニンを含み、樹皮から作る褐色染料は奄美大島の大島紬に使われる。
・シャリンバイの葉は長さ4~8センチ、幅2センチほどの細長い楕円形。分厚くて表面には光沢があり、縁には細かなギザギザがある。名前のとおり葉は枝から車輪状に(輪生のように)生じているように見えるが、よく観察すると枝から互い違いに出ているのが分かる。
・葉の雰囲気はモッコクに似ており、別名をハマモッコクという。葉の大きさや形状によって様々に品種分けがなされているが、そもそも変異や個体差が多く、品種を厳密に区別するのは難しい。
・シャリンバイの開花は3~5月頃。直径1~1.5センチほどの白い五弁花が円錐状に集まって枝先に咲き、微香を放つ。20本ある雄しべは花粉を出すと赤くなるため、時季によって花の印象も変わる。
・花の後には球形の果実(正確には偽果)ができ、秋(10~11月)になると黒紫色に熟す。果実は直径1センチほどで表面に白い粉を吹く。
・シャリンバイの果実はブルーベリーに似ており、オナガ、ツグミ、ムクドリなどの野鳥はこれを食べが、渋味があって食用にはならない。果実の中には、こげ茶色の種子が一つ入る。
・幹は直立せずに分岐し、枝は斜上する。樹皮は灰褐色で樹齢を重ねるとシワが目立つようになる。
【シャリンバイの育て方のポイント】
・東北地方南部から沖縄まで幅広く植栽できるが、寒冷地では冬季に葉が見苦しくなる。
・日陰、病害虫、痩せ地、潮風に強く、海沿いの緑化にも使用できる。乾燥にも強いが、乾燥が激し過ぎると葉が傷むことがある。
・枝葉が規則的に生じ、樹形は自然に整う。成長も遅めであるため剪定の必要性は低い。
・積極的に花を楽しむ木というよりは、丈夫な性質を見込んで道路沿いの目隠しや植えつぶしに使うことが多い。背丈もあまり大きくならないため、高速道路の中央分離帯など、維持管理に手間をかけたくない場所に植えられる。
【シャリンバイの品種】
・ベニバナシャリンバイ
ほんのりとピンク色をした花が咲く品種。
・ミノールマキノ
これも淡いピンクの花が咲くが、葉の幅が狭く、新葉の赤みが強い。
・マルバシャリンバイ
葉が原種よりも丸く、小枝が密生する。また、樹形は球形で背丈が低い。マルバシャリンバイと区別するために原種をタチシャリンバイ(立車輪梅)と呼ぶこともある。
・ホソバシャリンバイ
沖縄に見られる変種で、文字どおり原種のシャリンバイよりも葉の幅が狭い。
・ヒメシャリンバイ
葉が小型(長さ2~3センチ)の品種でピンク花もある。
・シマシャリンバイ(アツバシャリンバイ)
小笠原諸島の固有種で葉がシャリンバイよりも分厚い。開花は12月~3月。
シャリンバイの基本データ
【分類】バラ科/シャリンバイ属
常緑広葉/低木~小高木
【漢字】車輪梅(しゃりんばい)
【別名】ハマモッコク/テーチ木
タチシャリンバイ
【学名】Rhaphiolepis indica
var.umbellata
【英名】Indian hawthorn
【成長】やや遅い
【移植】やや難しい
【高さ】1m~6m
【用途】垣根/街路樹/公園樹
【値段】200円~