庭木図鑑 植木ペディア > シャクナゲ

シャクナゲ/しゃくなげ/石楠花

Rhododendron/Alpine rose

しゃくなげ,花,種類
シャクナゲは種類が多く、花の形も様々
しゃくなげ,石楠花,植物
冬芽の様子
石楠花の木の芽
新芽の様子
石楠花 葉っぱ 画像
シャクナゲの葉の様子
しゃくなげ
石楠花の花 
赤星,しゃくなげ
アカボシシャクナゲ
Rhododendron/Alpine rose
Rhododendron/Alpine rose
西洋石楠花,植物
セイヨウシャクナゲは花色が濃い
しゃくなげの花
セイヨウシャクナゲ「太陽」
Rhododendron/Alpine rose
花の後の様子
シャクナゲ,しゃくなげの実
晩秋の様子
シャクナゲ 花 画像
高山に分布し、栽培が難しい「高嶺の花」と呼ばれる

 

【シャクナゲとは

・北半球を中心とした世界の各地に分布する300~600種の花木の総称。特にヒマラヤ周辺の中国、ネパール、チベットには観賞用として優れた品種が自生する。

 

 

・日本では本州中部以西、四国及び九州の亜高山帯やその周囲に見られ、庭園にも盛んに植栽されている。

 

 

・日本に自生するシャクナゲには、ホンシャクナゲ、ツクシシャクナゲ、アズマシャクナゲ、ハクサンシャクナゲ、キバナシャクナゲなどがあるが、単にシャクナゲという場合はホンシャクナゲかアズマシャクナゲを示すことが多い。 

 

 

・基本的には高山植物としての性質を持つが、品種改良されて高温多湿の土地に耐える品種もある。 

 

 

・漢字名にある「石楠」は本来オオカナメモチを示していたが、誤用が広がった。シャクナゲの語源は不明。

 

 

・シャクナゲの葉は革質で表面に光沢があり、奈良時代にはトベラと混同されたという。葉にはロドトキシンという痙攣性の有毒物質を含み、誤用すれば運動麻痺や呼吸不全を引き起こすため注意する必要がある。これによって動物の食害から葉を守っており、一枚の葉の寿命は4年以上にもなるという。 

 

 

・葉は気温が低くなると縁が丸まって垂れ下がるが、気温が上がれば元どおりになる性質を持っている。 

 

 

・シャクナゲの開花は4~6月。ツツジを大きくしたような花が、数輪~十数輪ずつ花茎の先端にまとまって咲く。園芸用として人気が高いのはセイヨウシャクナゲの品種群で、自生種よりも色の濃い大輪の花を咲かせる。

 

 

【シャクナゲの育て方のポイント】

・湿気があり、かつ排水のよい日向を好む。

 

 

・花の観賞価値が高いことから人気のあるシャクナゲであるが、一部の園芸品種を除けばデリケートな性質を持ち、原産地に近い環境で育て、毎年、花の後に花摘みをしなければ開花を見るのは難しい。特に都会での地植えは開花が難しい。

 

 

・芽を出す力は弱く、むやみに剪定すると樹勢が目に見えて衰える。また、移植も難しい。広い場所で、自然な株立ち状に育てるのが理想。 

 

 

・褐斑病、葉枯れ病、もち病などの病気、アブラムシ、カイガラムシ、チャハマキムシなどの被害に遭いやすいため、日ごろの観察と適宜の消毒及び殺菌が必要。

 

 

【シャクナゲの品種】

・ツクシシャクナゲ(筑紫石楠花)

 南紀~九州に分布。花は淡い紫色で先端(花冠)は7つに裂け、雄しべは14本。直径4~5センチと大きめだが、葉が小さいため上品な印象があり、低地で育てやすいこともあって園芸用に普及する。葉の裏面に赤褐色の綿毛があり、スポンジ状になっている。

 

 

・ホンシャクナゲ

 愛知、長野及び富山県以西の本州と四国に分布し、ツクシシャクナゲの変種とされる。花冠は7つに裂けて雄しべは14本。葉の裏面には淡い褐色の短毛がある。

 

 

・ハクサンシャクナゲ(白山石楠花)

 亜高山帯の草原に自生する品種で、厳しい寒さに耐えるため薄めの葉は冬季になると内側に巻き込む。花は淡い紅色や白、クリーム色などで変化が多く、花冠は五つに裂ける。八重咲きのネモトシャクナゲ(ヤエハクサンシャクナゲ)は福島県の県花。 

 

 

・キバナシャクナゲ 

 北海道及び中部以北の本州に分布する品種。最も標高の高い地に自生するシャクナゲで、淡い黄色の花を咲かせる。

 

 

・アズマシャクナゲ(東石楠花)

 北海道を除く東日本の深山に分布。樹高は1~5mで枝は斜上するか、曲がりくねりながら横へ広がる。葉は長さ12~18センチで表面は無毛、裏面には淡い褐色の毛を密生させる。花は直径5~6センチの淡い紅色で花冠は五つに裂け、雄しべは10本。関東では庭園や盆栽に利用される。

 

あずましゃくなげ
アズマシャクナゲ

 

 

・キョウマルシャクナゲ(京丸石楠花)

 アズマシャクナゲとホンシャクナゲの分布の接点となる、静岡県の京丸山に自生する品種。ホンシャクナゲより大きな淡いピンク色の花を咲かせる。花冠は普通、5つに裂けるが6~7裂もある。

 

 

・アマギシャクナゲ

 アズマシャクナゲの変種で、天城山を中心とした伊豆半島の南部に自生する。

 

 

・ホソバシャクナゲ

 静岡県と愛知県の一部地域に分布する品種。名前のとおり葉の幅が6~20ミリと細く、淡い紅紫の花を咲かせる。自生は稀であり、自生種は天然記念物に指定される。別名はエンシュウシャクナゲ(遠州石楠花)。花冠は5つに裂け、雄しべは10本ある。

 

しゃくなげ,葉っぱ
葉が細いホソバシャクナゲ
細葉しゃくなげ
ホソバシャクナゲの花

 

 

・ヤクシマシャクナゲ

 屋久島の標高1000m以上に分布するシャクナゲで、葉の表面は艶があり、裏面、子房、花柄に多数の毛を生じる。変種にオオヤクシマシャクナゲもある。

 

 

・セイヨウシャクナゲ

 主に欧米において多数の原種から作出された品種群。花色は白、赤、黄色、紫など多様で、1000以上もの品種がある。雄しべは5~10本で一般に葉が大きく枝ぶりは単調。生け花には向かないが在来種よりも管理しやすいため、現代の庭園では在来種よりも数多く植栽されている。

 

西洋しゃくなげの花
セイヨウシャクナゲ

 

 

【シャクナゲに似ている木】

シャクナゲモドキ

 

シャクナゲの基本データ

 

【分類】ツツジ科/ツツジ属

    常緑広葉/低木~小高木

【漢字】石楠花(しゃくなげ)  

【別名】石南花/ロドデンドロン

    サクナムサ/トビラノキ

【学名】Rhododendron spp.

【英名】Rhododendron

    Alpine Rose

【成長】遅い 

【移植】難しい

【高さ】1~4m 

【用途】シンボルツリー/鉢植え 

【値段】2000円~

 

目次=掲載草木一覧=サイトマップ

 

検索 植木ペディア内を検索します↓