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サザンカ/さざんか/山茶花

Sasanqua tree

さざんか,山茶花の木,特徴
原種は白い一重咲き 園芸種のイメージが強いものの、暖地に自生する
さざんか,山茶花,葉っぱ,赤い,黄色い
新葉は赤味を帯びることが多い
サザンカ,葉
葉はツバキに似るが、より小さくて幅が狭い
サザンカ,さざんか,見分け
枝葉に白毛が生え、葉軸が赤黒いのも椿と異なる
山茶花の花,さざんか
雄しべが筒状にならないのもツバキとの違い
サザンカの種類
秋から春まで様々な品種が咲き続ける
さざんか
絞り品種の「六歌仙(ろっかせん)」
さざんか,果実
サザンカの若い実 表面は細かな毛に覆われる
サザンカの実,さざんか,種類
熟すにつれて赤く色付く 
山茶花,実,さざんか
やがて自然に裂け、黒い種子がこぼれ落ちる
山茶花の垣根
童謡「たき火」でお馴染み サザンカの垣根
山茶花,さざんか,仕立て
円筒形や垣根が一般的だが・・・
Camellia sasanqua
剪定に強く、様々な形に仕立てられる
さざんか,樹皮
サザンカの幹 これだけでは椿と見分けられない

 

【サザンカとは】

・山口県以南の各地に自生するツバキ科の常緑樹。日本特産の花木であり、暖地の林内や林縁に自生する。佐賀県神崎郡の千石山にあるサザンカの純林は自生の北限とされ、国の天然記念物に指定される。

 

 

・サザンカには300以上の園芸品種があり、晩秋~冬に咲く花を観賞するため、庭木や鉢植えに使われることが多い。上手に管理すれば花で覆われた垣根を作ることができることもあって、古くから人気が高い。

 

 

・サザンカという名前は、ツバキの漢名であるサンサカ(山茶花)が転訛したもの。当初は「さんざか」と呼ばれていたが、園芸品種が作られるようになった江戸時代初期以降は「サザンカ」として定着した。1869年には欧米に渡り、現在でも広く世界で栽培されている。 

 

 

・七十二候では11月上旬を「山茶始めて開く(山茶はサザンカのこと)」とするが、開花は品種によって異なる。



・サザンカの品種はサザンカ群、カンツバキ群及びハルサザンカ群に大別されるが、サザンカ群は10~12月、カンツバキ群は11~3月、サザンカとヤブツバキの交雑種であるハルサザンカ群は12月~4月に開花し、それぞれの花期は長い。

 

 

・サザンカの葉は長さ3~9センチ、幅1~3センチの長楕円形でツバキより細長くて小さく、枝から互い違いに生じる。葉の両端は尖って縁には浅いギザギザがあり、太陽にかざしても葉脈が透けて見えない点もツバキとは異なる。 

 

 

・葉は革質で光沢があるため意外な気もするが、チャ(茶)の仲間であり、新葉は茶の代用になる。漢名は「茶梅」。

 

 

・サザンカの花は直径4~8センチで枝先に一輪ずつ咲く。花弁の色や数も品種によって異なるが、原種のサザンカは白または薄ピンクの一重。5~7枚ある花弁は先端が少しへこみ、雌しべの先端(柱頭)は三つに裂ける。

 

 

・花はツバキに似ており、花弁は分離するようにほぼ全開する。ツバキの花には香りがないが、サザンカには微かな甘い香りがあり、蜜を吸いにメジロや蟻がやって来る。

 

 

・多数ある雄しべ(花糸)はツバキのような筒状にならず、付け根だけでつながっている。このため花が終わるとバラバラに落下する点も、花が丸ごと落ちるツバキとは異なる。

 

 

・花の後にできる果実は直径1.5~2センチほどの球形で、ツバキよりも明らかに小さい。翌年の花が咲く10月頃に熟すと三つに裂け、中から黒褐色の種子が三粒ほど顔を出す。 

 

 

・ツバキほど知られていないが、サザンカの果実から採取される油は良質で、食用油や髪油として使うことができる。種子を蒔けば繁殖できるが、栽培品種は実生ではなく、挿し木や接ぎ木で増やすのが一般的。

 

 

・サザンカの幹は直立し、樹齢を重ねると直径は最大30センチ程度になる。樹高は3~5m程度のものが多いが、中には10mを超えるサザンカもある。

 

 

 

・大木の樹皮は滑らかで灰白色だが、若木ではやや赤みを帯びる。材木としての使用は稀だが、楽器や折尺(折り畳み式の定規)などの器具に使われることもある。 

 

 

 【サザンカの育て方のポイント】

・ツバキに比べればやや寒さに弱いものの、東北地方でも南部であれば地植えで越冬できる。ただし、2~3年生の苗木は凍結や霜に弱いため、防寒対策が必要となる。一度根付けば耐寒性はあるが、11月以前あるいは3月以降に咲く品種を選べば無難。

 

 

・自生地は水はけの良い適湿地で、乾燥を嫌う。乾燥の激しい場所や冬の乾いた風が当たる場所への植栽は避けた方がよい。潮風や排気ガスなどの大気汚染に強く、日陰にも耐える。

 

 

・成長が遅めで剪定の手間が少なく、枝葉が密生しやすいため、目隠し用の垣根に適するが、風通しの悪い場所ではチャドクガの餌食になることも。生育が安定した垣根では年に2回ほど剪定し、枝葉を透かし気味に仕立てた方がよい。

 

 

・芽を出す力は強く、好きな樹形に仕立てられるが、花は前年に伸びた枝に咲くため、剪定の適期は花の直後となる。晩春以降に剪定すると花付きは悪い。

 

 

・放任気味でも育てられるが、基本的には肥沃な土地を好み、痩せ地や乾燥地では蕾のまま落下して花が咲かないこともある。剪定と合わせて肥料を施すとよい。

 

 

【サザンカとツバキの見分け方】

・枝葉の違い 

 サザンカは両面の主脈、葉柄に粗い毛があるが、ツバキにはない。特に葉柄上面の白い短毛が見分けのポイント。

 

 

・蕾の違い

 サザンカの蕾は葉の上面にでき、開花すると花がよく見えるが、ツバキは蕾が葉の下面にできて、花は葉に隠れるように咲く。

 

 

・開花時期の違い

  一般的にはサザンカの方がツバキよりも先に咲く。単純化するとサザンカは秋に、ツバキは春に咲くが、カンツバキ群のサザンカは12~3月、サザンカとヤブツバキの交雑種であるハルサザンカ群は12月~4月に咲く。秋に咲くツバキもあるため開花時期による区別は難しい。

 

 

・花の違い

 サザンカの花弁は薄くて周辺が波打ち、ほぼ全開するが、ツバキの花弁はやや厚くて半開きになるものが多い。また、サザンカ(ハルサザンカを除く)は花に香りがあり、雄しべが筒状にならないが、ツバキは香りに乏しく、雄しべは筒状に集まる。

 

 

・花の終わり

 ツバキは花ごと落ちることで有名だが、サザンカは花弁単位で落ちる。ただし、ハルサザンカ群は花弁がバラバラにならない。

 

 

・果実の違い

 サザンカは子房、果実に白い毛があるがツバキは無毛でピカピカしている。しかしツバキとの交雑による品種は数限りなく、中間種では区別が難しいものも少なくない。

 

 

【サザンカの品種】

 江戸時代にはツバキほど注目されず、栽培品種は少なかったようだが、現在サザンカには300を超える品種がある。花弁の色は白、紅、桃、それらの中間色などで、絞りや斑模様の入るものがある。以下はほんの一例。

 

笑顔紅(えがおくれない)
笑顔紅(えがおくれない)
星飛竜(せいひりゅう)
星飛竜(せいひりゅう)

桃色のサザンカ
紅雀(べにすずめ)
絞り
春麗(しゅんれい )

ハルサザンカ群 
奥山桃
古金襴(ピンク)
古金襴(ピンク)

ハルサザンカ群 
ユールタイド
ハルサザンカ群
鎌倉絞

ハルサザンカ
銀竜 (ぎんりゅう)
しろいさざんか
スターアバブスター

赤い山茶花
夢侘助(ゆめわびすけ)
あかいさざんか
佐保姫(さほひめ)

山茶花の花
浜北紅(はまきたこう)
山茶花の花,種類
鶯宿梅(おうしゅくばい)

ピンクのさざんか
小鼓(こづつみ)
絞笑顔(しぼりえがお)
絞笑顔(しぼりえがお)

さざんか,シロバナ
秋の調べ
トガリバサザンカ
トガリバサザンカ

べにつかさ
紅司(べにつかさ)
サンダンカ
三段花(さんだんか )

乙女サザンカ
乙女
さざんか,山茶花の品種 画像
手向山

あかいさざんか
池上紅(いけがみこう)
さざんか 図鑑
三国紅(みくにこう)

東牡丹(あずまぼたん)
東牡丹(あずまぼたん)
山茶花 特徴
笹田紅(ささだべに)

山茶花 図鑑
笑顔
サザンカの品種
昭和の栄え
近江衣
近江衣

サザンカの品種
旭の海
山茶花,さざんか,種類
早乙女
さざんか 花
春雨錦

山茶花の種類 図鑑
七福神
丁字車(ちょうじぐるま)
丁字車(ちょうじぐるま)

さざんか,品種
優美(ゆうび)
白いさざんか
羽衣

さざんか 品種
未染
山茶花 種類
関西鳳凰錦
白い山茶花,さざんか
梅ヶ香

サザンカの品種
銀月
山茶花 種類
田毎の月
さざんか,品種
朝蔵

sasanqua variety
富士の峰
犬張子
犬張子
さざんか
華子姫

サザンカの基本データ

 

【分類】ツバキ科/ツバキ属

    常緑広葉/小高木

【漢字】山茶花(さざんか)   

【別名】ヒメツバキ/コツバキ

    コカタシ/カタシ/アブラチャ 

    オキナワサザンカ/カイコウ

【学名】Camellia sasanqua

【英名】Sasanqua tree

【成長】やや遅い

【移植】簡単

【高さ】1~10m(品種による) 

【用途】垣根/公園/コンテナ

    盆栽/切花

【値段】300円~

 

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