サカキ/さかき/榊

Japanese cleyera

さかき,榊,植物
サカキは神事に欠かせない神聖な木とされる
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枝先にあるツメのような冬芽がサカキの特徴
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春になると「爪」が開いて新葉が展開する
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個体によっては新葉が赤くなる
神棚に使う葉っぱ,植物
サカキの葉は縁にギザギザがない
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葉の裏側の様子
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日陰の葉ほど、光沢があって美しい
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サカキの垣根を参道に用いた例(根津神社)
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神社に植えるのが一般的だが・・・
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神棚に使うために、庭で育てる家庭もあり
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こんな感じに刈り込まれてしまうことも
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剪定せずにおけば樹高は10m以上になる
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でき始めのツボミ
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サカキの蕾
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花は直径1センチほどで目立たない
榊の花
しかしアリは集まる
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萼の様子
サカキの木の花
花は咲き進むと全開する 開花は夏で「榊の花」「花榊」は夏の季語
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花の終わりの様子
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花の後には緑色の実ができて・・・
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晩秋に向けて黒く熟していく
榊の木の実
サカキの果実は直径4~8ミリほど
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冬の寒さで赤茶色に焼けることも
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サカキの樹皮

 

【サカキとは】

・本州中南部(茨城県~石川県)以西に分布するサカキ科サカキ属の常緑広葉樹。暖地の照葉樹林内に自生するが、冬でも光沢のある葉は古くから神事に使われ、神社の境内や神仏習合の名残から墓地に植栽されることも多い。

 

 

・サカキは朝鮮半島や台湾、中国にも分布するが、漢字表記の「榊」は「神」と「木」を合わせた国字(日本製の漢字)。他に「賢木」という表記もある。 

 

 

・名前の由来には、葉が一年中青く栄えていることから「栄える木」、これが転じてサカキとなったという説や、神の世界と人間界の境に植える木を意味する「境木」からサカキとなったという説がある。

 

 

・日本には冬も枯れない常緑樹に、生命の永遠を願う信仰があり、古くは神事に使う常緑樹全般をサカキと称した。このため今でも地方によってはツバキサザンカのことをサカキと呼ぶことがある。

 

 

・サカキ属の木はアジアや中南米を中心として世界に十数種類あるが、サカキ属はツンベルクが日本のサカキを基準として設立した。 

 

 

・Cleyera japonicaという学名は江戸時代にオランダ商館長として来日した医師であり、かつ日本の植物に造詣の深かったアンドレアスークライヤー氏にちなむ。 

 

 

・サカキの葉は厚い革質で枝から互い違いに生じ、長さ7~10センチ、幅2~5センチになる。葉の形には細長いもの、丸っぽいものなど個体差があり、モチノキに似たものを特にモチサカキという。

 

 

・葉柄は0.5~1センチで赤いものと緑色のものがある。枝先にある葉芽(冬芽)が、鳥の爪のような弓状になるのが特徴だが、これにも赤いものと緑色のものがある。 

 

 

・葉の表面は濃緑色で光沢があり、裏面は淡い緑色。水平に広がる枝葉は、神が降臨する依代(よりしろ)とされ、紙垂や木綿を付けた「玉串」を神前に供え、五色の幣帛(へいはく)を付けた「真榊」は神前の装飾に使われる。

 

 

・玉串として神棚に捧げる木としてはオガタマノキヒサカキが一般的であり、オガタマノキは九州を中心とした暖地で、それより北ではサカキが使われてきた。 

 

 

・サカキが育たない地域では神棚にヒサカキを用いることが多いが、地方によってはシキミカシソヨゴマツイチイモミを用いる。

 

 

・サカキの開花は夏(6~8月)で、葉の脇から伸びた長めの柄に1~3輪が疎らに咲く。花の直径は1.2~1.5センチほど。先端は五つに裂けて微かな芳香を放ち、咲き始めは純白だが、散り際にはクリーム色になる。 

 

 

・雌雄同株の両性花で、雌しべの周りに多数の雄しべがあり、雄しべの葯には逆毛がある。

 

 

・花の後には球形の果実ができ、秋から冬(11~12月)にかけて黒紫色に熟すが、熟しても自然に裂けることはない。 

 

 

・果実は果汁の多い液果で、内部には肉質の胚乳を持つ小さな種子を多数含む。これを蒔けば実生で増やすことができるものの、発芽率は低め。繁殖は挿し木によることが多い。

 

 

・幹は直立し、直径は最大30~50センチになる。若い木の樹皮は緑色だが、樹齢を重ねると淡い灰褐色、あるいは紅色を帯びた暗褐色となり、皮目と呼ばれる点々が現れる。 

 

 

・サカキの材は建材や器具材となり、稀に床柱、天秤棒、杵、箸、櫛の背板、舟の棹などに使われる。

 

 

【サカキの育て方のポイント】

・暖地性の木であり、寒風が吹きすさぶような寒さ厳しい場所では育てられない。茨城県辺りが植栽の北限になる。

 

 

・本来は日向を好むが日陰にも強く、植え場所を選ばない。ただし、日陰では枝葉が間延びしやすく、日差しの強過ぎる場所では葉の色がきれいになりにくい。

 

 

・適度に湿った肥沃地を好むが、土質は選ばない。植穴には腐葉土や堆肥を漉き込んで保湿性を高めると健康に育つ。植え付け後の施肥はさほど必要としないが、鶏糞や油粕などの有機肥料を定期的に与えるとなお良い。 

 

 

・病害虫には強いが、風通しが悪いとカイガラムシやそれに付随するすす病が発生する。また、冬の寒風が当たると葉の色が悪くなる。

 

 

・枝葉は繁茂するが枝の出方が荒いため、手入れの頻度は低くてすむ。刈り込みには耐えるが、葉を神事に利用するのであれば刈り込みバサミの使用は避けたい。剪定の適期は3月下旬か11月だが、垣根仕立ての場合は7月頃にも剪定した方がよい。 

 

 

【サカキの品種】

 以下のように葉に模様の入る複数の品種がある。

 

サカキの種類 品種
「覆輪」と呼ばれるサカキの一品種 神棚には使えない
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「残雪」は模様がさらに派手め
サカキ 品種
「トリカラー」と呼ばれる品種 これも神棚には・・・

 

 

【サカキの仲間の見分け方】

 サカキと名が付く木には他にもヒサカキハマヒサカキなどがある。いろいろと見分ける方法はあるが、細かなことを抜きにすれば葉が大きい順に、①サカキ、②ヒサカキ、③ハマヒサカキとなる。

 

榊の木の葉
サカキの葉
榊の種類の見分け方
ヒサカキの葉
違いと見分け方
ハマヒサカキの葉

 

・庭木としてはヒサカキの利用が最も多く、ヒサカキをサカキと呼んでいる例も多い。サカキの葉が長さ7~10センチであるのに対して、ヒサカキは長さ3~7センチと小さいので、容易に見分けられる。また、ヒサカキは枝葉が密生するため、いろいろな形に刈り込んで使用しやすい。

 

サカキの基本データ

 

【分類】サカキ科/サカキ属

    常緑広葉/小高木

【漢字】榊(さかき)/賢木 

【別名】ホンサカキ(本榊)

    マサカキ(真榊) 

【学名】Cleyera japonica 

【英名】Japanese cleyera

【成長】やや早い 

【移植】ヒサカキより難しい。 

【高さ】3~12m 

【用途】垣根/寺社 

【値段】500円~

 

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