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イブキジャコウソウ/いぶきじゃこうそう/伊吹麝香草
Japanese thyme
【イブキジャコウソウとは】
・北海道から九州まで日本各地に分布するシソ科の小低木。日当たりのよい岩場や草地を特に好むが、高山から海岸付近まで広い範囲に自生する。
・滋賀県の伊吹山に数多く見られ、枝葉に麝香(じゃこう=ムスク)のような香りがあるためイブキジャコウソウと命名された。
・葉は直径5~10ミリ、幅3~6ミリの狭い卵形あるいは卵形で、枝から対になって生じる。葉や茎にはチモールなどの精油分を含んでおり、入浴剤や料理の香りづけに使うことができる。
・イブキジャコウソウは細い茎が地面を這うように伸び、一見すると「草」のよう。名前にも草が用いられるが、冬季も地上に枝葉が残る「木」の仲間。茎は木質化し、節の部分で斜めに立ち上がり、若い枝には白い短毛がある。
・中国で「十里香」と称されるミカン科やセリ科の植物を凌ぐ香りがあるとして、別名を「百里香」という。民間療法では茎葉を干して煎じたものが風邪薬に使われる。
・イブキジャコウソウは生育環境によって葉の大きさや毛の長短が異なり、それらを変種として扱うこともある。また、日本以外では中国、朝鮮半島、インド及びアフガニスタン等にも分布するが、日本のものは中国のものを原種とした変種とされる。
・イブキジャコウソウの開花は6~7月。枝先に淡い紅色あるいは白色をした小花を半球状に咲かせる。
・花は長さ5~8ミリ、直径5ミリほどで唇状に裂け、上唇は直立するが、下唇はさらに3つに浅く裂ける。花の後にできる果実は球形で、直径は1ミリほど。
【イブキジャコウソウの育て方のポイント】
・環境への適応力は高いが、日当たりの良い場所を好み、日陰では茎葉が間延びして見苦しくなる。
・耐寒性が高く、耐暑性もあるが、夏場に蒸れると茎葉が枯れこむことがある。蒸れを防ぐため、盛夏前に短く剪定するのがよい。
・病害虫には強いが、茎葉が密生しやすく、風通しが悪いとアブラムシの被害に遭うこともある。
【イブキジャコウソウに似ている木】
・タチジャコウソウ
南欧産の近縁種で、茎葉をスパイスに使うことで知られる。別名は(コモン)タイム、チミアンなど。名前のとおり立ち上がるように育つ。
・ヨウシュイブキジャコウソウ
ヨーロッパやアフリカ北部を原産とする近縁種。一般的にクリーピングタイムやワイルドタイムとして親しまれるもので本種同様、這うようにして育つ。こちらもスパイスに使われる。
イブキジャコウソウの基本データ
【分類】シソ科/イブキジャコウソウ属
常緑(半落葉)/小低木
【漢字】伊吹麝香草(いぶきじゃこうそう)
【別名】センリコウ/カヤリグサ
ハマクサ/イワジャコウソウ
ナンマンジャコウソウ
【学名】Thymus quinquecostatus
【英名】Japanese thyme
【成長】やや早い
【移植】簡単
【高さ】5~15㎝
【用途】下草/鉢植え/香料/薬用
【値段】500円~