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イヌガシ/いぬがし/犬樫
Inugashi cinnamon tree
【イヌガシとは】
・千葉県以西の日本各地に分布するクスノキ科シロダモ属の常緑樹。伊豆の天城山をはじめとした暖地の乾いた山地に自生するが、稀に庭木としても利用される。日本以外では朝鮮半島や台湾に分布し、漢名は「台湾新木姜子」など。
・カシに似るがカシの仲間ではなく、役には立たないという意味合いでイヌガシと名付けられた。なお、代表的な樫の木であるアラカシもイヌガシと呼ばれることがあるものの、本種との直接的な関係はない。
・イヌガシの葉は長さ5~12センチの長楕円形で先端が鋭く尖る。クスノキ科に特有である3本の葉脈が目立つが、クスノキのような芳香はない。
・葉は薄手の皮質で表面には光沢があり、裏面は白っぽくなるが、シロダモほど白くはならず、葉柄もより短い。葉は枝先にまとまって生じるように見えるが、枝から互い違いに出ている。
・イヌガシの開花は3~4月。黄褐色の総苞に包まれた球形の蕾が割れると、中から暗い紅紫色の花が顔を出す。花は葉の付け根に3~9輪ずつまとまって咲くが、濃緑の葉とのコントラストが美しく、遠くからでもよく目立つ。
・雌雄異株で雄花は雌花よりも大きく、花の先端は四つに裂け、雌花では白い柱頭(めしべ)が目立つ。
・雌花の後にできる果実は直径10ミリほどの楕円形で、10~11月になるとヤブニッケイのような黒紫色に熟す。シロダモの実は赤いため、これもシロダモとイヌガシを見分けるポイントとなる。
・樹皮は灰黒色で皺や割れはなく、皮目と呼ばれる点々が多い。役に立たないとされるが、材は建材、器具材、薪炭などに用いる。
【イヌガシの育て方のポイント】
・丈夫な性質で日陰でも育ち、土質もあまり選ばない。
・暖地性の樹木であり、寒さが厳しい北海道や東北地方の北部には植栽できない。
・背丈が高くなることや枝が大きく広がることから一般家庭には使いにくいが、剪定に耐える。
・植木としての流通量は少なく、入手はやや難しい。
【イヌガシに似た木】
・シロダモ
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イヌガシの基本データ
常緑広葉 小高木
【漢字】犬樫(いぬがし)
【別名】マツラニッケイ
ニイタカシロダモ
【学名】Neolitsea aciculata
【英名】Inugashi cinnamon tree
【成長】やや早い
【移植】やや難しい
【高さ】4~9m
【用途】庭木
【値段】─(流通は稀)