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イチゴノキ/いちごのき/苺の木
Strawberry tree
【イチゴノキとは】
・地中海沿岸~アイルランドのヨーロッパを原産とする常緑低木。戦後に日本へ渡来し、花や果実を観賞するため庭木として使われる。果実がイチゴに似るとして名付けられたが、お馴染みのイチゴ(バラ科)の仲間ではなく、ツツジ科イチゴノキ属に分類される。
・成長が遅めであまり大きくならないことや、果実の見た目の可愛らしさ、他の花木よりも開花時期が遅いことなどから近年、急速に普及が進んでいる。苗木の耐寒性はやや乏しいが、温暖化が進んだことで日本の広い範囲に植栽できるようになった。
・イチゴノキの葉は肉厚で長さ3~8センチ、幅1~2.5センチほど。長楕円形で先端が尖り、縁には全体に粗いギザギザがある。葉の表面は濃緑色だが、裏面は淡い緑色となり、乾燥が激しい場合は葉の縁が裏側へ反り返る。
・葉は枝から対になって生じるが、枝先では車輪状に集まって生じるように見える。古い枝や幹は赤味がかっており、アセビ、シャシャンボ、ネジキに似る。
・イチゴノキの開花は10~12月で、壺型の花は同じツツジ科のアセビやブルーベリーに似る。花の色は白あるいは淡いピンクの混じった白だが、全体がピンク色になる園芸品種もある。花言葉は「あなただけを愛します」「節約」など。
・イチゴのような果実は開花翌年の12月頃に熟す。果実が目立つ頃には翌年の花が咲いており、花と果実を同時に楽しめることも本種の特徴。果実の直径は8~12ミリほどで表面に凹凸があり、種子は果肉の内部に含まれる。イチゴというよりはヤマモモに近い。
・イチゴノキの果実は生食できるものの、味はほとんどなく、もっぱら鑑賞用となる。ただし、ジャムや果実酒などに加工して楽しむことができ、ハチミツの蜜源にもなる。
【イチゴノキの育て方のポイント】
・日向を好む。半日陰地でも耐えるが、日照の少ない場所では花や実が少なくなる。
・成木となれば耐寒性はあるが、関東北部以北では冬季に葉がくすんで見苦しくなることがある。
・暑さに強いが、本来は乾燥地を好む。水はけの悪い場所の場合は土壌を改良した方がよい。
・火山地帯を原産とし、ツツジ科としては例外的にアルカリ性の土壌でも育つ。しかし、あまり土質に神経質になる必要はない。
・枝葉はそれほど茂らないため、他のツツジ類のように大胆に刈り込む必要はない。成長が遅く、強度の剪定は生育不良を招く。
【イチゴノキの品種】
・ピンクの花が咲くベニバナイチゴノキや、背丈が高くならない矮性のヒメイチゴノキがあり、庭木としてはより適している。
【イチゴノキに似ている木】
・アセビ
・ネジキ
イチゴノキの基本データ
【分類】ツツジ科/イチゴノキ属
常緑広葉/低木
【漢字】苺の木(いちごのき)
【別名】ストロベリーツリー
【学名】Arbutus unedo
【英名】Strawberry tree
【成長】やや遅い
【移植】簡単
【高さ】2m~5m
【用途】シンボルツリー/果樹
【値段】1500円~