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アマミセイシカ/あまみせいしか
奄美聖紫花
Amami-seishika-tree
【アマミセイシカとは】
・奄美大島に分布するツツジ科の常緑小高木。明るい渓流の岩場に自生するが、園芸用の採掘や開発によって個体数は激減しており、「幻の花」とされる。
・西表島や石垣島に自生するセイシカは「聖紫花」で、文字どおり清楚な紫色の花が咲くが、本種は奄美産で花が白いため、アマミセイシカとされた。セイシカの変種とする説もある。(なお、漢字表記には「西施花」もあり、古代中国の美女「西施」によるという説もある。)
・アマミセイシカの開花は3~5月で、ツツジのような漏斗型の花が枝先に2~4輪ずつ咲く。花の直径は5センチ前後で、花弁が根元で合着する合弁花だが、花先は深く五つに裂け、上部にある一つの裂片の内側には、淡い黄緑色の斑点模様が入る(セイシカの斑点は紅紫色)。
・花の中央に突き出すのが雌しべで、その周りを10本の雄しべが取り囲む。セイシカの花糸(雄しべにある糸状の部分)は有毛だが、アマミセイシカの花糸は無毛である点も両者を見分けるポイントとなる。花には微香があり、虫がよく集まる。
・蕾や咲き始めの花はピンク色を帯びるが、花が進むにつれて画像のように白くなる。花の後には円筒型の乾いた果実ができ、秋になると褐色に熟す。果実の長さは2センチほど。
・葉は一般的なツツジよりもシャクナゲに近く、本種を含めたセイシカを、ツツジとシャクナゲの中間種とする説もある。葉は長さ5~10センチの長楕円形で枝から互い違いに生じるが、枝先では束になって出ているように見える。
・葉は薄い皮質で、表面にやや光沢がある点はセイシカと同じだが、セイシカに比べると葉は細長くて先端が尖り、中央の葉脈(主脈)にある窪みが著しい。
【アマミセイシカの育て方のポイント】
・耐寒性はあるものの、基本的には暖地性であり、地植えは関東地方以西となる。霜の降りる場所では屋内あるいはビニルハウス内で栽培するのが無難。
・日向を好み、日陰では生育不良となる。花付きも悪い。
・自生地は水辺が多く、湿気を好む。夏の日差しや乾燥に弱く、特に西日の強い場所では生育不良となる。
アマミセイシカの基本データ
【分類】ツツジ科 ツツジ属
常緑性広葉 小高木
【漢字】奄美聖紫花(あまみせいしか)
【別名】─
【学名】Rhododendron latoucheae
var. amamiense
【英名】Amami-seishika-tree
【成長】やや遅い
【移植】簡単
【高さ】2~7m
【用途】花木/鉢植え
【値段】─(販売は稀)