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アコウ/あこう/赤榕
Sea fig
【アコウとは】
・紀伊半島、四国、九州及び沖縄の沿海部に見られるイチジクの仲間。幹を伝うヒゲのような気根や、露出した根が入り乱れる姿が特徴的であり、高知県土佐清水市や鹿児島県西之表市など、本種を市町村の木に指定しているところもある。日本以外では中国南部沿岸や東南アジアの各地に分布。
・赤い小さな果実を「赤子(和歌山や高知の方言でアコ」に見立ててアコウと呼ばれる。漢字表記は榕、赤榕、雀榕で、「榕樹」と記す場合はクワ科の常緑樹全般あるいはガジュマルを表す。また、「赤榕」は、赤い実がなる榕(ガジュマル)で、「雀榕」はスズメのように花や実が連なるガジュマルという意味。
・葉は楕円形で分厚く、表面には光沢があり、葉脈が目立つ。長めの葉柄を含めた葉全体の長さは8~20センチ、幅は8センチほどで、雰囲気はガジュマルに似るがより大きく、葉柄も長い。葉は枝から互い違いに生じ、小枝を傷つけるとイチジクと同じように乳液が生じる。
・アコウは常緑樹だが、1年に1回以上、一斉に葉を入れ替える性質があり、葉が全くない時季に目にすると落葉樹のように見える。新芽は紅色で紅葉のように美しい。乾燥させた葉を焼くと良い香りがあり、「沈香木」との別名がある。
・開花は5月頃だが環境によっては不定期となる。花は花らしくないばかりか表には見えず、太い枝や幹に突然できる「花のう」の中にひっそりと咲く。
・雌雄異株であり、雌の木には雌花を、雄の木には雄花を咲かせ、イチジクコバチが花のうの口部を出入りすることで交配する。
・花のうは8月頃になると淡いピンク色に熟し、直径1~1.5センチほどの「果のう」となる。果のうは生食でき、野生動物に食べられた果のうが他の木の又に散布されると、そこから芽を出し、やがて気根を網目のように張り巡らせて寄生した木を絞め殺すかのように見える。このためアコウはガジュマルと共に「絞め殺しの木」と呼ばれる。
・樹皮は灰白色で滑らかだが樹齢を重ねると画像のように気根に覆われてゴツゴツとした雰囲気になる。樹齢は数百年を超え、幹の直径は1m以上になることも。材は器具材として使われる。
【アコウの育て方のポイント】
・暖地に生育する樹木であり、自生地以外での露地植えは難しい。いわゆる観葉植物としての扱いになる。
・樹高の割に枝張り(横幅)が大きく(最大10~20m)、木陰を作るために街路樹として用いられる。奄美大島や屋久島では防潮林、防風林、生垣として使っているが、狭い場所に植えるような木ではない。
・上述のとおり一斉に葉を入れ替える性質を持ち、枯れたように見える時季がある。暖地では年2回以上で、突然に葉を落とすこともある。
・開花や実が成る時期には個体差がある。
【アコウに似ている木】
アコウよりも温暖な地を好む。ガジュマルの葉柄は最短で1センチほどだが、アコウのそれは4センチほど。葉柄の長さで両者を区別できる。また、アコウの気根は幹から生じるが、ガジュマルは幹と枝から垂れ下がる。
アコウと同じような実ができるイチジクの仲間
アコウの基本データ
【分類】クワ科/イチジク属
常緑広葉 高木
【漢字】榕/赤榕/雀榕(あこう)
【別名】アコギ/アコミズキ
アコノキ/アカウ
タコノキ/ウスキ/オホギ
【学名】Ficus superba
var. japonica
【英名】Sea fig
【成長】やや早い
【移植】簡単
【高さ】10~20m
【用途】街路樹/生垣/観葉植物
【値段】20,000円~