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リンドウ/りんどう/竜胆
Japanese gentian
【リンドウとは】
・関東以西の本州、四国及び九州に分布するリンドウ科の多年草。日当たりの良い、やや乾いた丘陵や土手、野原などに分布する。青紫の花が美しく、古今和歌集にも「りうたむの花」として登場するほど古くから親しまれ、観賞用として栽培される。センブリと同様、苦みのある根を漢方では胃腸薬として使うことでも知られる。
・漢名は「龍膽(りゅうたん)」で、その由来には苦さを強調して龍の膽(=肝)としたとする説や、葉がイヌホオズキ(龍葵)に似て、根が膽(きも=肝)のように苦いことによるとする説等がある。別名はエヤミグサ(疫病草)、アゼギキョウ(畔桔梗)、ケロリグサなど。
・リンドウの開花は秋で、釣鐘型をした藍色の花が茎の先端や上方にある葉の付け根に2~6輪ずつ咲く。基部は筒状で先端は五つに裂けるが、花が開くのは晴天時で、雨によって花粉が無駄にならないよう調節している。花の後にできる種子には翼があり、これによって拡散される。
・葉は長さ4~8センチ、幅1~3センチの細長い卵形。先端は尖り、表面には3本の葉脈が目立つ。茎は直立あるいは斜上し、葉は対になって生じるが、根元の葉はより大きく、茎を抱くようになる。
・茎には4本の筋があり、時に紫がかった褐色を帯びる。リンドウは世界に400種以上分布するというが、日本のリンドウの母種である中国や朝鮮のリンドウは、葉や茎がザラザラする。
・根茎はクリーム色。直径2ミリ程度と細いが、分岐しながら地中深くへ伸びる。苦味の正体はゲンチアミンという物質で、これが舌先を刺激することで胃液の分泌が促進され、胃腸薬としての役割を果たす。薬用にするのは晩秋に掘り出した根を乾燥させたもの。
【リンドウの品種】
・エゾリンドウ
草丈が1mほどになる大型の品種。花も長さ3~4センチと大きめ。色合いが鮮やかなため切花などの園芸用としてリンドウよりも数多く出回る。
・エゾオヤマリンドウ
エゾリンドウの高山型。花は頂部付近にのみ咲き、花弁が全開しないという特徴を持つ。
・フデリンドウ
草丈が5~6センチにしかならず、花が咲くと筆のように見える品種。開花は5月頃と早い。
・ホソバリンドウ
名前のとおり、細めの葉が線状に生じる品種。
・オヤマリンドウ
中部地方の高山などに自生する品種。花は長さ2~3センチと小さく、エゾオヤマリンドウと同様に、日の光を浴びても全開しないのが特徴。
リンドウの基本データ
【分 類】リンドウ科/リンドウ属
多年草
【漢 字】竜胆(りんどう)
【別 名】エヤミグサ(疫病草)
アゼギキョウ(畔桔梗)
ケロリグサ
【学 名】Gentiana scabra
var. buergeri
【英 名】Japanese gentian
【開花期】9~11月
【花の色】藍色
【草 丈】~100cm