庭木図鑑 植木ペディア > 山野草 > ヤマユリ
ヤマユリ/やまゆり/山百合
Gold banded lily / Japan lily
【ヤマユリとは】
・近畿地方以北の本州に自生するユリ科ユリ属の多年草。日本に自生する15種のユリを代表するユリであり、古くは万葉集にも登場する。その圧倒的な存在感から、吉凶慶弔さまざまな場面で花材として使われる。
・日当たりの良い山の斜面、草原、疎らな林の中に自生するため「山百合」というが、栽培が容易であるため、中部地方以東では最も多く庭に植えられている(ちなみに西日本はササユリ)。
・別名はコウライ、ボンノハナ、ハナユリなど。また、自生地を冠した別名もあり、ヨシノユリ(吉野百合)、ハコネユリ(箱根百合)、エイザンユリ(叡山百合)、ホウライジユリ(鳳来寺百合)などが知られる。
・ヤマユリの開花は暑さ真っ盛りの6月下旬~8月で、普通は4~5輪がまとまって咲く。花に近付くとむせ返るほどの強烈な香りがある。花の大きさは直径20~30センチにもなり、野山に咲く花の中では最大級。
・花弁は6枚あるように見えるが、外側の3枚は萼であり、内側の3枚が本来の花弁に該当する。これら6枚を併せて花被というが、その内面には黄色い筋模様と赤褐色の斑点がある。雄しべは6本、雌しべの先端は浅く三つに裂け、花の後には楕円形の大きな果実ができる。
・19世紀に来日したシーボルトは本種をヨーロッパへ持ち帰ったが、純潔を重んじるかつてのヨーロッパでは赤褐色の斑点模様が受け入れにくかったようで、その後、彼の地で改良を重ねられたカサブランカが編み出され、日本にも逆輸入されることとなる。
・球根(ユリ根)は直径10センチにもなる大型で、これを形成するクリーム色の鱗片は美味かつ栄養価の高い食糧として、食糧難の時代に重宝された(ただし、一般的に食用とするのはクセの少ないコオニユリがメイン)。ユリ根は生薬として咳止めや解熱にも使われる。ちなみに鱗片が沢山合わさっていることが、漢字表記「百合」の由来とされる。
・茎は弓なりに曲がって伸び、高さは時に180センチを超える。花が風に揺れる姿を、美女の歩く仕草に擬え、ユリを美女の形容に用いるが、花が「揺り動く」ことからユリと命名されたという説がある。ただし、茎が倒れやすいため、庭に植栽する場合は普通、支柱を用いる。
・葉はルリタテハ(蝶)の食草であり、多少の食害がある。
【ヤマユリの品種】
・サクユリ
伊豆半島や伊豆諸島に分布する変種で、本種よりも花が大きい。
【ヤマユリに似た植物】
・オニユリ
・ササユリ
ヤマユリの基本データ
【分 類】ユリ科/ユリ属
多年草
【漢 字】山百合(やまゆり)
【別 名】コウライ/ボンノハナ
ハナユリ/ヨシノユリ(吉野百合)
ハコネユリ(箱根百合)
エイザンユリ(叡山百合)
ホウライジユリ(鳳来寺百合)
【学 名】Lilium auratum
【英 名】Gold banded lily
Japan lily
Golden-rayed lily
【開花期】6~8月
【花の色】白
【草 丈】~180cm